進学・進級でスマホデビュー?子どもにおすすめのスマホデビュー方法と設定
進学・進級の時期。この時期、子どもにスマートフォンなどを持たせるべきかどうか検討するご家庭は多い。
小中高校生の保護者を対象とした東京都青少年・治安対策本部の「家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用に関する調査結果報告書」(平成30年4月)によると、スマホを持たせる理由は、「子供にせがまれたため仕方なく持たせた」(33.1%)、「子供の所在地がわかるようにするため」(30.8%)の2つが理由として目立つ。
一方、スマホを持たせたことで「睡眠時間が減った」(19.9%)、「視力が落ちた」(18.7%)、「勉強に集中できなくなったり、記憶力が下がったりした」(15.3%)などの悪影響があった割合は、合計51.2%と半数以上に上る。
検討しつつも、トラブルや事件につながることも多いため、できれば子どもに持たせたくないと考える保護者も少なくないだろう。子どものスマホデビューにおける注意点とリスク、スマホ以外の選択肢やおすすめの始め方までをご紹介したい。
保護者が子どもに指導が一番効果的
2013年に起きた、従業員がコンビニエンスストアのアイスケースに入った写真をFacebookに投稿し、炎上した事件を覚えている方は多いだろう。通称「コンビニアイスケース事件」と言えば、Twitterにおけるバイトテロのきっかけとなった事件であり、その後類似の炎上事件が相次いだ。その真っ最中、新聞もテレビもバイトテロについて報じていたときに、ある専門学校に講演に行ったことがある。
一番有名なその事件を例示して、「当然知っているよね」と聞いたとき、一番前にいた学生が驚いた顔をして首を横に振ったことを忘れられない。他にもその事件を聞いたこともない学生が複数いたのだ。
大学生にもヒアリングしてみたが、1、2年生の頃はまったく社会ニュースに興味を持っていないという学生は多かった。「合格したからしばらく(社会ニュースは見なくても)いいと思って」と言っている学生がいたくらいだ。社会的ニュースに興味を持ち始めるのは就活が始まる3年生くらいからという学生は少なくない。これが、今年になってバイトテロが続いた大きな理由の一つとなっている。
つまり、子どものスマホデビューにあたっては、保護者がスマホで起こりやすいトラブルについて知っておくことが大切となる。子どもには、保護者が直接注意するのが一番伝わり、効果があるのだ。
小中高校生、それぞれの最多トラブルは?
子どもにスマートフォンを持たせることで、どのようなトラブルが起きるのだろうか。
小学生など低年齢の子どもの場合、まず端末の扱い自体で問題が起きることが多い。講演先で聞いたところ、端末をとられた、なくした、壊したというトラブルは非常に多いようだ。
防水・防塵機能などを持つ壊れづらいものを持たせたり、「iPhoneを探す」「端末を探す(Android端末の場合)」などの端末を探せる設定をオンにしておいたり、最悪壊しても仕方がないと考えて保証に入っておくなどするべきだろう。
そもそも小学生の間は高機能すぎる端末は使いこなず、自由に使わせすぎると様々なトラブルにつながりやすくなることも指摘しておきたい。また、端末を持ち歩く習慣がないので、連絡を取ろうにも家に置きっぱなしだったり、充電を忘れていてつながらない例も多いようだ。
中高生になると、SNSやゲームにはまって利用時間が長くなることによるネット依存問題が一気に増える傾向にある。中高生がいる家庭では、そのような悩みがない家庭のほうが少数派と言えるくらいだ。その他、自画撮り被害を含む出会い系被害、ネットいじめ、炎上などは、特に大きな問題につながる可能性が高いので注意が必要だ。
持ち始める前にしたい「安全設定」「家庭でのルール決め」
特に低年齢の子どもにスマートフォンを利用させる場合は、フィルタリングサービスに入ったり、ペアレンタルコントロール機能などを駆使することが必須だろう。
たとえばiOSの機能であるスクリーンタイム機能を使えば、アプリを利用できない時間帯、対象とするアプリの利用時間、アプリを利用できない時間帯でも利用して良いアプリや機能の設定、不適切なコンテンツをブロックできるコンテンツ機能などが可能だ。つまり、フィルタリング機能と利用時間制限が可能となるのだ。
iOSの「設定」→「スクリーンタイム」→「続ける」→「これは自分用のiPhoneです」または「これは子供用のiPhoneです」とタップしてスクリーンタイム機能をオンにしよう。「これは子供用のiPhoneです」を選択すると、パスコードを設定したり、機能制限設定画面となる。
またよく聞くのが、「スマホを持たせたらあっという間にはまって一日中使っている」「ルールを決めないで使わせて失敗した」という声だ。一度自由に使わせてしまうと、後から制限しようと思っても子どもは言うことを聞いてくれなくなる。
必ず利用前に利用していい時間帯や一日の利用時間、利用して良い場所、コンテンツなどのルールを決め、設定による利用制限も同時にするのがおすすめだ。子どもの利用状況や年齢などによっておすすめのルールは違うので、子どもと話し合った上で家庭ごとに決めてほしい。
小学生にはスマホ以外の選択肢も
小学生など低年齢の子どもに利用させる場合は、いきなりスマートフォンではなく、違う端末を検討するのもいいだろう。
持たせたい理由が緊急時の連絡用や子どもの居場所確認のためなら、子ども用携帯電話を持たせればよい。これなら、保護者のスマートフォンやパソコンから居場所が確認できたり、フィルタリング機能や利用制限も簡単だ。保護者がキャリアのスマホを利用している場合は、利用料もかなり抑えられる。なお、子ども用携帯電話は学齢が上がった子どもは利用したがらないことが多いので、小学生くらいまでが目安となるだろう。
文科省によって小学校・中学校は基本的にスマホ・携帯電話の持ち込みが禁止されている。また、格安SIMを利用している保護者も少なくないだろう。そのような場合は、GPS端末もおすすめだ。
セコムの「ココセコム」、ALSOKの「まもるっく」、Bsizeの「GPS BoT」など、子どもの居場所が確認できるものが複数ある。「ココセコム」「まもるっく」にはいざというときに警備員が駆けつけるサービスがあり、「GPS BoT」は居場所の確認のみだが、AIで子どもの行動を学習してくれ格安で利用できる。
中高生の場合はスマートフォンになるだろうが、フィルタリングサービス、ペアレンタルコントロールサービスを駆使し、家庭でルールを定めた上で利用することで、トラブルは減らせるはずだ。
スマホや携帯電話などの端末は、うまく使えばとても便利な端末だ。保護者も協力の上、安全に使いこなしていただければ嬉しい。