中国と中東(2)
イラン王制と共産中国の関係は、その後も発展した。そして1978年9月には華国鋒(かこくほう)主席がテヘランを訪問した。しかし、当時のイランは1978年の年初から始まった反シャー運動に揺れていた。華主席は、大規模なデモの直後にテヘランを訪問した。このデモ隊に治安当局が発砲して多数の死傷者が出ていた。殉教者の遺体を踏みつけたとイランの革命派に批判された訪問であった。これがシャーの時代の外国の首脳の最後のテヘラン訪問となった。これほど酷いタイミングでイランに来たのは、その直前に実際のデモの日に訪問した日本の福田赳夫(たけお)首相だけであった。こうして日中共にイラン情勢の展開を見損なった。この翌年には、日中の首脳が訪問したシャーは帰らぬ亡命の旅に出た。そしてイランで革命政権が成立した。
この記事は有料です。
高橋和夫の中東・イスラム・国際情報のバックナンバーをお申し込みください。
高橋和夫の中東・イスラム・国際情報のバックナンバー 2019年4月
税込275円(記事3本)
※すでに購入済みの方はログインしてください。