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黒田は「現役/引退」の決断をマエケンのポスティング有無の前に表明した方が良い

豊浦彰太郎Baseball Writer
(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

黒田博樹が引退と現役続行の狭間で悩んでいるようだ。本人は来週あたりまでには結論をと語っている。人生の極めて重要な決断なのでそれなりに時間が掛かることは理解できるが、黒田本人のためにも早い結論の方が良いと思う。

もっと正確に言うと、カレンダー上の何月何日までということではなく、カープが前田健太をポスティングに掛けるかどうかを決定する前に自身の去就を表明した方が良いということだ。

黒田自身は、現役続行の判断を下すために重要なのは「戦力になれるかどうか」だと語っている。もちろんそうだろう。しかし、プライベートも含めたもっと多くの要因が複雑に絡み合っているはずだ。そして、責任感の強い彼は、前田がポスティング移籍するなら彼まで引退で抜けるとカープ投手陣はどうなるのか、と憂慮している可能性も高いとみるべきだろう。黒田が12月の第2週あたりに結論をと述べているのは、前田のポスティング有無の判断が下されるであろう時期との関係において符合するからだ。

しかし、黒田の去就は本来彼自身の問題であり、そこまで心配する必要はないと思う。メジャーからの高額オファーを蹴り広島に復帰した彼は、今季期待に違わぬ結果を残した。単純に規定投球回数に達し2ケタ勝利を挙げたことに留まらず、シーズン終盤は中4日で登板するなどのチームスピリットも示した。昨年末からの「男気」ブームで大きなマーケティング効果をもたらしたことも議論がない(高額契約より出身球団への復帰を優先することに普遍的な価値があるかのように報道していた当時のメディアの姿勢には、疑問を禁じ得なかったのだけれど)。長年応援してくれたファンやサポートしてきた球団への義理は十分果たしている。ここは、現役続行にせよ引退にせよ単純に自身と家族のためにベストの選択をして欲しいと思う。そのためには、表明はマエケンの去就が明らかになる前の方が良い。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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