【豊田市】博物館の開館に向けミュージアムの可能性を探る企画展「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」
企画展「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」が、豊田市美術館にて始まりました。
展覧会名:企画展「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」
会場:豊田市美術館
会期 2024年1月20日(土曜日)-5月6日(月曜日)
グローバル化が進み、世界が均質化していくように見える中で、国や地域のアイデンティティーとは何か、ミュージアムはいかに文化や伝統を伝えていくのか?
2024年4月26日に予定している「豊田市博物館」の開館に向け、世界の不均衡から始まったミュージアムの「未完の現在地」から、未来への可能性を探る展覧会。
ルーツや作風の違う5人の作家により、歴史や資料を調査、収集して、現代のテクノロジーを交えながら、時を超えた事物の編み直しを試みる企画展です。
『ガブリエル・リコ』
動物の剥製、貝殻や枝などの個人的な思い出など、発見・収集した素材にネオン管などの日常的な物を組み合わせ、現在の人間と神話、また自然環境との新たな関係を探ります。
また、メキシコ先住民の知識を美術に取り込み、消費社会の中で再び宇宙とつながる精神性も模索していきます。
『タウス・マハチェヴァ』
歴史記録や文化的遺物、個人的な記憶に、ユーモアとアイロニー、そして壮大な空想を加えた作品を展開。
近代以降の伝統のあり方や、国家と結びつくアイデンティティーが考察されます。
『リウ・チュアン』
急激に変化する現代中国の姿を映す映像作品。グローバル経済が世界を画一化していくなか、豊かで多様な文化的、民族的な声や音楽が存在することを知らせます。
『田村友一郎』
「チタンと骨」を中心に、寝椅子に置かれた猿人ルーシーのチタン製の骨の一部、液晶画面が砕けてできた砂のバンカー、その中のチタン製のゴルフクラブとライ麦でつかまえてのペーパーバック、それらを明るく照らす携帯電話でできたUFO、部屋に響くAIにより蘇ったジョン・レノンの声。はるかな時間の中の 「今」 という時、そして人間と技術の関わりを問います。時空を超えた人類規模の技術の進展を扱う新作です。
『ヤン・ヴォー』
2階展示室には、幼少期に家族と共にヴェトナムから逃れてデンマークで育ったヤン・ヴォーの作品が展示。
自らが育てる庭の花々や街の花屋で売られる花々を撮影した写真の下には、ヤン・ヴォーの父により花の名前が書き添えられています。そして、それらが収められる木の枠は、ヴェトナム戦争を推し進めた米官房長官ロバート・マクナマラの息子の農場で育った胡桃の木で作られたもの。
自身や家族の存在を翻弄する強国の存在。しかし、複雑さの中にある「美」が、可能性の扉を開き続けます。
さて。
美術館や博物館の「原型」とされ、15世紀に始まった驚異の部屋(ヴンダーカンマー)は、絵画や彫刻に加え、動物の剥製や植物標本、地図や天球儀、東洋の陶磁器など、世界中からあらゆる美しいもの、珍しいものが集められ、小さいながらも見知らぬ広大な世界を覗き、空想を膨らますことができる空間でした。
しかし、美術品や博物資料を集める人・集められる人の間には、不均衡や異文化に対する好奇の眼差しといった背景もあったそう。
地域の歴史・文化・産業や自然などをテーマにした、総合博物館「豊田市博物館」が開館する今、改めてミュージアムと社会との関係や、ミュージアムの未来の可能性を探り、感じ、考える企画展。ぜひお出かけになってみてはいかがでしょう?
【施設情報】
「豊田市美術館」
〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町8丁目5−1
10:00~17:30(入場は17:00まで)
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