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43歳。婚活より子猫の世話。この年齢で猫すら救えないのは嫌なんです~40歳からの婚活入門(12)~

大宮冬洋フリーライター
東京下町のビストロにて。ワインを2人で2本空けてしまいました

***自営業、橋本恵理さん(仮名、43歳)の話**

「僕はこれ以上がんばれない。仕事が忙しいから」

 32歳で家業に戻るまでは、百貨店の従業員として働いていました。その頃に付き合っていたのがIT関連の会社を経営している4歳下の男性です。努力家で温厚な人でした。お互いに一人暮らしで、週に1回ぐらいしか連絡を取り合わなかったけれど、結婚の話もしていたんです。

 別れたきっかけは海外旅行です。当時、私は31歳。「婚前旅行だね」という話だったので、プロポーズしてくれるものと思っていました。仕事で疲れ果てている彼は旅行先でもずっと寝ていて、私はコテージで家事ばかり。それでも幸せだったんです。

 でも、プロポーズされなかった。私はそういう対象ではないんだ、とすごく落ち込みましたね。しばらく連絡を取りませんでしたが、彼は私の家を訪ねて来ようとすらしません。最後は「僕はこれ以上がんばれない。仕事が忙しいから」と言われました。結婚は我慢ではないと思います。仕事ばかりしている彼と共同生活をするのは無理だったんですね。

 実は、彼と別れる前に会社で素敵な男性と出会っていました。6歳年下の人で、音楽や食べ物の趣味から話し方までが私とぴったり一緒。血のつながりを感じるほど似ていて……。でも、彼はいわゆるヤリチンの怠け者。趣味はデートなので、いつも一緒にいないとすぐに浮気をしに行ってしまいます。私は家業に戻って仕事を覚えていた頃なので、毎日会うことなんてできません。浮気は嫌なので別れることになりました。

一人は寂しいとか、お金が心配といった理由ではなく

 家業に戻って10年間はとにかく必死でした。私の業界にいる男性はほとんどの人が20代のうちに結婚しているので、仕事上で恋愛することもありません。同世代の中には子どもが成人している人もいます。

 仕事上の必要もあって、私はこの10年間で自分なりに勉強をしてきました。心理学や社会行動学の本も読んで、いろんな問題に対して自分はどのように解決していくべきか、大変な毎日を前向きに過ごしていくにはどうすべきかを模索して来たんです。だから、努力をしない受け身の男性はつまらなく感じてしまいます。一人だと寂しいとか、お金が心配だからといった理由ではなく、人とのつながりを大事にして楽しい家庭を作りたいという男性と一緒になりたいです。

 去年からちょっと婚活もしています。お見合いパーティーに参加したら、ありがたいことに「次回以降は無料でいいので参加しませんか」と誘われました。お見合いパーティーの裏側を見ちゃった気がします。そのときも2人の男性とマッチングして、それぞれと食事に行きました。

 Aさんは私と同い年なので興味を持ちました。でも、なんだか怪しい様子で話もかみ合いません。医療系メーカーの営業マンだというのに飲食店ですごくタバコを吸うし、名刺を絶対にくれない。3回会ったけれど、苗字すら最後までわかりませんでした。

 年収2千万円だという証券マンのBさんは2歳上です。年収からするとお見合いパーティーで人気者になりそうですよね。でも、すごくせっかちで人の話を聞かず、貧乏ゆすりもする人なので、私以外の誰ともマッチングしていないようでした。

 私は「几帳面でがんばっている人」だと感じて、誘われるままに食事に行きました。でも、汚くて美味しくない居酒屋に連れて行かれて、勝手にどんどん飲んで酔っ払ったBさんに体を寄せられたんです。腹が立ったので、会計は私が済ませてお店を出て来ました。それきりです。

 最近は、会社の敷地に住んでいる野良猫の世話で手いっぱいです。子猫をたくさん産んでしまって……。この年齢になって猫すら救えないのは嫌なんです。子猫の世話に毎日4時間もかかってしまっています。これから仕事も忙しくなる時期なので、婚活をしている時間はなさそうです。

お酒を飲むペースが少しずつ上がっていく橋本さん。ちょっと危険です…
お酒を飲むペースが少しずつ上がっていく橋本さん。ちょっと危険です…

***筆者より橋本さんへ**

年齢も収入も高めの男性が多い結婚相談所に入会して、プロフィールを公開。以上です

 橋本さんは見た目も華やかで、男性を引き立てるような会話も上手な女性です。お見合いパーティーの無料会員に認定されるのも当然でしょう。僕も途中からインタビューであることを忘れて、口説きそうになってしまったぐらいです。

 プライベートで男性と会う場に出れば、橋本さんは今後もモテ続けると思います。経済的にも満たされているので「結婚しないと老後が心配」なわけでもないし、「どうしても自分の子どもを産みたい」わけでもないですよね。焦るべき要素はあまり見当たりません。猫の世話と仕事が落ち着いてから、楽しむ気持ちで婚活を再開すればいいのではないでしょうか。

 気になることもあります。橋本さんのように「モテ要素が満載で結婚願望もあるのに独身のアラフォー女性」は、男性に求める条件が高いところで偏っていることが多いのです。橋本さん、あなたの理想像を僕なりにまとめると、「仕事ができる努力家。女性とのコミュニケーションは上手だけど浮気しない」男性です。橋本さんの周囲にはそんな既婚男性が多いのだと思いますが、同世代の独身男性では該当者がいないではないでしょうか。

 そのような独身アラフォー男性がいたとして、「自由気ままに働いて遊んできたけれど、そろそろ結婚したい」と思ったとき、どれぐらいの確率で橋本さんを選ぶでしょうか。子どもが欲しい場合はアラサー女性ばかりに目が向きそうです。奥さんには仕事より家庭を優先してほしい場合も、家業に従事している橋本さんとの結婚には及び腰になるかもしれません。一方で「逆玉の輿」狙いの男性は橋本さんのほうが願い下げですしね。

 橋本さんが狙うべき層は、「40代後半以降の若々しい男性。バツイチも含む」ではないでしょうか。この年齢になると、「今から子どもを作りたい」という男性は少数派です。60代以降の長い「老後」を見据えて、生活を一緒に楽しめるパートナーを求めるのが普通でしょう。もちろん、そのパートナーは美しくて豊かであることに越したことはありません。

 つまり、橋本さんは完全に当てはまります。年齢と収入が高めの男性が多い結婚相談所などに入会して、勝負写真と丁寧な文章付きのプロフィールを公開すれば、素敵な男性が何人も立候補するはずです。書いていて僕もワクワクしてきました。年明けあたりにやってみてください。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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