全体1位のプロスペクトが早くも球史に名を刻む。初出場でこれをやってのけたのは、他に福留孝介だけ
6月22日、ワンダー・フランコは、タンパベイ・レイズの「2番・三塁」として、初めてメジャーリーグの試合に出場した。
20歳のフランコは、現在最高のプロスペクトだ。ベースボール・アメリカとベースボール・プロスペクタス、MLB.comのいずれも、プロスペクト・ランキングの全体1位にフランコを挙げている。昨シーズンの開幕前も、今シーズンの開幕前もそうだ。1回裏の打席に入った時には、観客全員ではないものの、トロピカーナ・フィールドにスタンディング・オベーションが起きた。
その打席に四球を選んだフランコは、2打席目のセンター・フライを挟み、5回裏の3打席目にホームランを打った。この一打により、スコアは2対5から5対5となった。上の写真はその直後だ。
スタッツ社によると、メジャーデビューした試合で同点となる3ラン本塁打あるいはグランドスラムを打ったのは、史上2人目。他の1人は、2008年の開幕戦で9回裏に同点3ラン本塁打を記録した、シカゴ・カブスの福留孝介(現・中日ドラゴンズ)だという。
その日、福留は「5番・ライト」として出場し、二塁打、四球、シングル・ヒットに続き、ホームランを打った。下の写真はその直後だ。
フランコの場合、福留のような出塁率1.000とはいかなかったが、ホームランに続き、4打席目に二塁打も打った(5打席目は投手ゴロ)。三塁の守備でも、目の前を走り抜けようとした走者にタッチしてから一塁へ投げ、ダブル・プレーに仕留めた。
また、ESPNスタッツ&インフォによると、フランコは、初出場の試合でホームランを打った三塁手の最年少記録を塗り替えたという(ニグロリーグは含まず)。それまでの最年少は、1978年6月16日にアトランタ・ブレーブスの「7番・三塁」としてデビューした、ボブ・ホーナーの20歳と314日。フランコは、20歳と113日だ。この9年後、ホーナーはヤクルト・スワローズでプレーし、93試合で31本のホームランを打った。
なお、この日のフランコは、試合前にも大物ぶりを発揮した。球場には、白いロールス・ロイスに乗ってやってきた。