「イラン、ロシアへ軍事ドローン数百台を提供へ」米国大統領補佐官が発表
米国の国家安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏は2022年7月11日にホワイトハウスの記者会見で、イラン政府がロシア軍に対してウクライナ紛争で使用するためのドローン数百台を提供する可能性があると語っていた。イランは7月からロシア軍に攻撃ドローンの訓練も行っているとのこと。またサリバン氏によるとロシア軍は多くの兵器をウクライナで損失している。
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍によって上空のドローンは迎撃されて破壊されたり機能停止されたりしている。
ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。またロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。だがウクライナ軍による地上からのドローン迎撃も激しく、ロシア軍の多くのドローンが破壊されたり、機能停止されたりしている。ドローンは検知されたらすぐに迎撃されて破壊されるので、戦場では何台でも必要だ。監視偵察ドローンは「上空からの目」として敵の様子を確認することができる。攻撃ドローンは敵を察知したら、すぐに攻撃が行えるし、大型ミサイルほどコストがかからない。今回、イランからロシア軍に「数百台」のドローンが提供されるとしたら、ロシア軍にとってかなり優位になる。
米国バイデン政権は2022年3月に、米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供し、すでにウクライナ軍によって利用されている。また同社では監視・偵察ドローンもウクライナ軍に提供している。攻撃用スイッチブレードの「Switchblade300」と「Switchblade600」は上空からドローンが標的に突っ込んでいき、戦車などを破壊することができる。またウクライナ軍は主にトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃している。
実戦にも投入されているイランの攻撃ドローン
イランの兵器のほとんどは1979年まで続いた王政時代にアメリカから購入したもので、現在はアメリカとの関係悪化による制裁のためアメリカから購入できないので、特にドローン開発に注力している。イランの攻撃ドローンの開発力は優れており、敵国であるイスラエルへも飛行可能な長距離攻撃ドローンも開発しており、イスラエルにとっても脅威である。イスラエルのガザ地区の攻撃の際にはパレスチナにドローンを提供してイスラエルを攻撃していたと報じられていた。開発したドローンを披露するための大規模なデモも行ってアピールもしていた。アメリカの敵国であるイランがロシアに攻撃ドローンを提供することはアメリカにとっても、どのような攻撃ドローンが導入されて、どの程度の威力なのか、目が離せない事態である。
イランからの軍事ドローンがロシア軍に提供されるようになると、ロシア軍にとっては非常に優位である。ウクライナ政府は世界中の国々にあらゆる兵器をウクライナ軍に提供してほしいと訴えている。ロシア軍が使用するイラン製の攻撃ドローンに対抗するために、また多くの兵器が世界中からウクライナ軍に供給される可能性が高い。
▼イランが開発した攻撃ドローン
▼イランがロシア軍へ攻撃ドローン提供を予定していることを発表するサリバン米国大統領補佐官