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韓国女子ゴルフのリオ五輪代表が決定。落選のイ・ボミはこれからどうする?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
チョン・インジもリオ五輪出場が決まった。(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

熾烈を決めた韓国のリオデジャネイロ五輪・女子ゴルフ代表のメンバーが決まった。7月11日に発表された世界ランキングによって、ついに結論が出た格好だ。

リオ五輪のゴルフ出場枠は世界ランクによって決まり、各国の上位2位に出場権が与えられ、上位15位内に複数の選手がいる場合は最大で4名まで出場権が与えられる。日本は2名までだが、韓国女子は4名まで。その韓国女子4名が決まった。

まずは最大の注目だったパク・インビがリオ五輪に出場する。かねてから大本命でありながら、今季は左手のケガで不調。棄権や予選落ちもあり、パク・インビ本人も「ケガが回復しなかったら、国のためにリオ五輪を辞退することもある」としたことでその出場が危ぶまれていたが、所属事務所がパク・インビのコメントを発表した。

「五輪出場は私の長い夢であり目標でした。ケガの回復具合を見なから悩んでいましたが、ケガがとても好転したので出場を決心しました」

韓国女子ゴルフ史上最強最高の絶対王者と言われるパク・インビの参加に、リオ五輪で韓国女子ゴルフ代表のコーチを務めるパク・セリも「パク・インビの五輪出場の知らせを聞いて心強くなった。成績も重要だが、彼女が出場するだけで代表チームに大きな力になる」と喜んでいるという。

この大本命パク・インビの出場で、韓国女子ゴルフのリオ五輪出場枠は当初の予定通り、世界ランク上位4位に。昨日行なわれた全米女子オープンの結果を受けて7月11日に発表された世界ランクによると、3位パク・インビ、5位キム・セヨン、6位ヤン・ヒヨン、8位チョン・インジにリオ五輪への出場権が与えられることになる。

「五輪出場のためにポイントの高いアメリカのLPGAツアー参戦を決め、苦労してようやく五輪切符を手にして嬉しい」と語ったのは、キム・セヨンだ。“逆転の女王”と呼ばれる彼女は、赤いパンツスタイルを“勝負服”とするが、「五輪ユニフォームにも赤があればいい。赤いスボンを履いて良いプレーを見せたい」と、さっそく意欲を燃やしている。

ヤン・ヨンヒも喜びを隠さない。「注射針を見るだけで怖いのに2週間前に韓国ゴルフ協会から予防注射をするよう連絡があったんです」とおどけながら、「本当に私が五輪に出れるんですか?」と言って五輪メンバーに滑り込んだこと喜んだという。

ただ、その一方で最後の最後で落選してしまった選手もいる。特に惜しくもメンバーに届かなかったのがジャン・ハナだ。一時は世界ランク5位(3月7日)までなり有力候補だったが、最終的には10位でリオ五輪出場にはならなかった。

今となっては3月の場外騒動が彼女を狂わせた感もある。チョン・インジとの間で起き場外騒動にまで発展した “カバン事件”以降、ストレスによる不眠症と貧血で、大会出場すらおぼつかない深刻な打撃を受けただけに、もどかしいがきりだろう。

(参考記事:米国で快進撃を続けるジャン・ハナに降りかかった疑惑と“カバン事件”)

もっとも、日本のファンたちにとってもっとももどかしいのは、イ・ボミの落選ではないだろうか。最後の大逆転を目指して全米女子オープンに乗り込むも、予選落ちの結果に終わってしまった。

「イ・ボミ、全米女子オープン予選脱落、リオ五輪出場も挫折」(『亜州経済』)、「イ・ボミ、予選脱落・・・五輪出場の夢も挫折」(『マニア・リポート』)とは韓国メディアの報道。誰よりも強く五輪出場に強いこだわりを見せていたイ・ボミだけに、そのショックは計り知れない。彼女が五輪にこだわる理由を知っている者なら、不憫に思えて仕方ない日本のファンも多いのではないだろうか。

(参考記事:日本、ライバル、リオ五輪。イ・ボミが韓国メディアに告白した“熱き思い”)

そのイ・ボミは予選敗退後、韓国に戻った。日本に戻らずそのまま韓国に向かったのは、7月14日から韓国で行なわれるKLPGAツアーの『BMWレディス・チャンピオンシップ』に出場するためだ。

イ・ボミにとっては3年ぶりのKLPGA公式戦出場となるだけに、韓国では注目度は高い。しかも、賞金規模は韓国国内最高の総額12億ウォン。全米女子オープンで躍進したパク・ソンヒョンはもちろん、“元祖美女ゴルファー”ユン・チェヨンや、韓国女子ゴルフ界の“超絶セクシークイーン”アン・シネなど豪華な顔ぶれが揃う。まさに“韓流美女ゴルファー”たちが一堂に介する大会になる予感だ。

(参考記事:イ・ボミとキム・ハヌルだけじゃない!! 韓国美女ゴルファー“神7”は誰だ!?)

3年ぶりの韓国公式戦ということもさることながら、リオ五輪出場が叶わなかった直後の試合で、果たしてイ・ボミはどんな言葉を発し、どんなプレーを見せるのだろうか。韓国はもちろん、日本のファンたちにとっても気になるところだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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