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NY金13日:中国リスクに一服感、戻り売り優勢で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比8.00ドル安

始値 1,125.00ドル

高値 1,126.00ドル

安値 1,112.90ドル

終値 1,115.30ドル

人民元切り下げを基点としたリスクオフの地合に一服感が広がる中、金相場は反落した。

中国人民銀行(中央銀行)は3日連続で人民元相場の切り下げに踏み切るも、それと同時に基準値と市場実勢の「乖離の是正は基本的に終えた」とも指摘しており、更なる通貨切り下げリスクが後退していることが、リスクマーケットに安心感をもたらしている。なお国際金融市場は人民元切り下げのショックをどのように消化するのか気迷いムードが強く、本日の米国株もプラス圏とマイナス圏を行き来する不安定な地合になっている。ただ、アジア・欧州株は総じて安値是正の動きをみせており、リスクマーケットに対する資金回帰の思惑が、今週に入ってから急反発していた金相場の上値を圧迫している。ドル安傾向にブレーキが掛かったこと、CRB商品指数が年初来安値を更新したことなどもネガティブ。

引き続き、中国リスクの動向次第であり、仮に14日にも改めて人民元切り下げが行われると、金相場は急反発するリスクも残されている。ただ、新興国通貨の急落傾向にも一定の歯止めが掛かり、ドル高是正の動きも見られる中、このまま国際金融市場が落ち着きを取り戻せば、金相場はこれまでの上昇幅を相殺する形で下値追いの展開に転換する可能性が高い。

なお瞬間的な急騰・急落リスクの高い不安定な地合になるが、中国の人民元切り下げに伴う漠然とした不安心理が押し上げた相場のため、その原因である国際金融市場の不安定化が解消されれば、金相場は改めて1,100ドルの節目を割り込む展開になる。金上場投資信託(ETF)に対する買い圧力も一服しており、このままリスクオフの地合にブレーキを掛けることができるのかが試される局面になっている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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