【泉佐野市】「ファストフード店 超え」のおもてなしに朝夕通う人も『居心地が良すぎて帰れない店』要注意
まず、はじめに伝えたいこと。それは、椅子がすべて“ふっかふか”だということ。
全席 “ソファレベル” の座り心地を提供するこのお店は、なんと「ファストフード店」。
ちなみに「ファストフード」とは、注文してからすぐ食べられる手軽な食品や食事の意で、そもそも長居することを前提に店づくりをしないはず。
さらに、ひざ掛けや自由に読める「新聞」「雑誌」なども置いてあり、BGMには心とろけるような音楽が。これは帰れない…。
今回ご紹介するお店は、「モスバーガールート26号泉佐野店」。
昨年3月に “マクドナルドの跡地” に移転して話題となったお店です。
その時の記事がこちら↓
移転後、なかなか訪問叶わず気になっていたのですが、ある日 PCを抱えて飛び込んだところ これが大正解。「こんなお店を探していたんだよ…」とドハマりする結果に。
というのも、近頃 落ち着いて作業をしたいなぁと思っても、手頃な“居場所”が見つからず困っていました。
大型ショッピングセンター内のカフェはオープン過ぎてなんだか落ち着かないし、閉鎖的な喫茶店は落ち着くけど少々お高め。
手頃なお値段で“お昼ごはん”も“カフェ”も、そして“作業”もできるお店って案外少ないんです。
もちろん、コンセントやフリーWi-Fiも完備。どんな利用方法でも受け入れてくれる懐の大きさにお世話になっています。
取材に伺ったのは、まだお客さんもまばらな時間帯。落ち着いて座席の撮影をさせていただきたくてこの時間を選びました。
まるでレストラン! ゆとりのある空間と遊び心を感じる椅子
明るい店内にゆとりをもって配されたシックな色合いのソファ。
ざっと店内を見渡しただけでも椅子にこだわりを感じます。
冒頭でもお伝えしたように「ファストフード店」でありながら、全席 “ソファ” レベルの座り心地です!(検証済み)
カウンター席の椅子さえも柔らかくお尻を包み込んでくれます。
そして、「なんだ、この遊園地のまわるコーヒーカップのような椅子は!」と驚いたのがこちら。
「子ども連れの方に利用していただきたくて、本部に熱望しました!」と話すのは店長の井上 千恵(いのうえ ちえ)さん。
ブラウンのL字型の椅子とこちらの椅子は、なんと特注なのだとか。
みなさんもご存知のように「モスバーガー」はフランチャイズ展開するチェーン店。
店舗ごとに特注なんて出来るの? と思いましたが、運営システムや店舗イメージは統一されているものの、企業イメージに合う提案であれば、店舗ごとの要望も受け入れてくれる懐の深~い会社なのだとか。
そんなお話をしていたらお昼時になり、あっという間に店内はお客さんでいっぱいに。
親子、ご夫婦、シニア、おひとりさま、友人、と見られる幅広い客層で席が埋め尽くされていきます。
実は、利用するたびに気になっていた“「モスバーガールート26号泉佐野店」ファン”の存在。おそらく一見さんではない“通いなれたお客さん”の姿が多く見受けられ、店内はいつも温かくこなれたムードが漂っています。
移転して1年も経たないのになぜこんなに人気店に?
井上さんにそんな疑問を投げかけてみると「ベテランスタッフの力が大きいんですよ」とにっこり。
そして「モスバーガールート26号泉佐野店」の縁の下の力持ち的存在のスタッフお二人を紹介してくれました。
アルバイト歴14年の石野さんと、6年の樹下さんです。
言葉によって通じ合う「ファストフード店」へ
石野さんは主にインテリアを担当し、樹下さんはお花を担当しているそう。
そういえば、店内にはいろんな置物が飾られていたり、通路やトイレに花が飾られていたりと店の演出に力を入れている様子。
担当者がいたとは驚きです。
そして井上さん曰はく、樹下さんはとてもお話上手なのだとか。
(井上さん)「この店のファンというより、樹下さんファンが多いんじゃないかな? 笑 お客様のご様子を見て適宜 温かいお声掛けをしてくれているんですよ」
(樹下さん)「実は、移転して間もない頃『マクドナルドみたいになっちゃったね』とお客様に言われたことがあったんです。あ、でもそれは広くなってスタッフとの距離感ができてしまった、という意味合いだと思います。安松店(旧店舗)から通っていただいているお客様にとっては、こぢんまりとしたあの家庭的な雰囲気が良かったのだと思います。なので、できるだけ”お客様フロア”に出て、お客様にお声掛けするようにしています。朝夕通ってくださるお客様もいらして『休日に自分の時間がつくれるようになった』とよろこんでいただいています」
(井上さん)「今日のメッセージボードは石野さんに書いていただきました。“ほっこりする話題” であれば何を書いてもOKなんですよ。朝のスタッフに書いてもらうことが多いですね」
そのメッセージボードがこちら。
スタッフのごくごく私的な打ち明け話。なんだか他人の生活をのぞき見しているみたいで、これがとっても楽しいんです。
お客様に適宜声掛けをしたり、メッセージボードで打ち明け話をしたり、言葉によって人と通じ合い寄り添う店の姿は、25年もの長きに渡り地域の人に愛された安松店の雰囲気をしっかり受け継いでいました。
メッセージボードの横には、野菜の主な産地が日々掲示されています。
どこの誰が作った野菜なのかを知ることは、“大切に食べよう” という気持ちにも繋がりますよね。このような取り組みも、作り手、スタッフ、お客さんとの距離感をグッと縮めるきっかけになっているようにも感じます。
ちなみにモスバーガーで使用する野菜は、レタスはふわっとしたもの、トマトはかため(ドロッとした種の部分が少なめ)のものを全国の契約農家さんが準備してくださるのだとか。
聞くところによると、その野菜の仕込み方にも工夫があって、レタスは手でちぎって4度の氷水にさらす。冬の玉ねぎは辛味が強いので、揉み洗いしてから長時間水にさらす。切り置きはせず、朝夕に仕込む、など、ここでも主婦歴の長いベテランスタッフの経験と知恵が活かされているようです。
推しバーガーは「とびきり和風ソース」
モスバーガーが美味しいのは当たり前。そう、やっぱり美味しいのです。
その中でもわたしが毎度注文してしまうバーガーはこれ。
サイドメニューは、いつも「オニポテ」(オニオンフライ&ポテトフライ)とコーヒーをチョイスしています。
いや~、これが本当に美味しいんです。
100%国産肉を使用したパティと、玉ねぎで勝負する潔さ。良い素材だからこそ美味しく仕上がるシンプルバーガーに脱帽です。
まず、このパティ、肉感が半端ない。肉の塊を食べているようです。そしてちょっぴりスパイシーな甘辛ソースが絡む絡む。シャキシャキの玉ねぎの歯応えや甘みも加わり、半分ほど食べたら名残惜しくなってきます。そして次回また注文してしまうルーティン。太ることを気にしながらもこの美味しさにはつい負けてしまうのです。
ふっくらしたオニオンフライとポテトも美味しい!
サイドメニューの美味しさも「モスバーガー」の魅力ですよね。
とびきりシリーズは、ほかにも「とびきりチーズ」540円(税込)、「とびきりトマト&レタス」550円(税込)もあり、季節限定(2月上旬頃まで)の「黒毛和牛バーガー 特製テリヤキソース~ゆず胡椒風味~」790円(税込)もおススメ。
マクドナルドの値上げをうけて、“モスは高い”という印象も薄らいできたこの頃。
「ファストフード店」とは思えないほどの居心地の良さに、思わず「ぶっちゃけ長居しても良いのか?」などと、実のところどうなのかを尋ねてみました。
「長居しちゃってください。どうぞゆっくりなさってください。なんだったらゆっくりしていただきたいんです」というお答え。
ほかにも「一人でもお好きな席に座ってくださいね」など、どこまでも寛大なマインドで地域の人を受け入れようとする姿勢が、今日までファンを増やしてきた理由なのだろうなぁと感じました。
「実は、店内の椅子はすべて移動できるんですよ」と井上さん。
なんと、季節にあわせて模様替えができるのだとか。
「冬の窓際は、足元が寒いのでL字型の椅子を配置しています」
椅子の配置場所にも理由があったのですね!
この写真を撮影している時、お客さんが笑顔でわたしたちを気遣う場面にも遭遇し、
通うお客さんも温かく、ここでの時間を大切にされているのだと感じました。
「自分と対峙する時間」「友人と語り合う時間」「親子や夫婦で食事をする時間」をどこでどう過ごすのか。もし、そのお店の雰囲気が まるっと温かく癒されるものであったら、椅子も座り心地がよくてカラダにも優しかったら、きっと自分も穏やかになって有意義な時間となるはず。
「席を外された時、お荷物が心配になると思うんです。『見守ってほしい』など、ご要望があればお声がけくださいね」(混雑時はむずかしい場合もあります)
最後の最後まで、お客様の不安事を改善したいと吐露されるスタッフさん。
これからも素敵なお店に成長していくのでしょうね。
「ファストフード店」でありながらそれを超えるおもてなしにファンも多い「モスバーガールート26号泉佐野店」。
席に腰掛けた瞬間「なんだ、この温かい雰囲気は!」となりますよ。
なかなか帰れないことだけは “要注意” ですけどね。