カーリング、来季はどうなる? 中部電力は新戦力を発表、ジュニア世代が揃って新しいステージへ
今季のカーリングも現在、カナダ・オタワで開催中の男子の世界選手権、ロコ・ソラーレら世界トップチームが出場予定のグランドスラム2大会、4月22日から韓国・江陵で開幕されるミックスダブルスの世界選手権を残すのみだ。
そんな中、来季への動きが活発化してきた。
3月31日には2021年のジュニア王者であり、同年の日本選手権では当時は高校生ながらファイナルまで駆け上がった常呂ジュニア(ドラゴン)が、ロコ・ソラーレの男子チーム「ロコ・ドラーゴ」として活動を開始するとのことで、練習公開と会見を行った。
前田拓海、前田拓紀(ひろき)、中原亜星、上川憂竜(うりゅう)というメンバーや、石をためながら好機をうかがい前田拓海のショットで仕留めるスタイルは変わらないが、「またイチからチームを作り直す気持ちでいる」と前田拓海が意気込みを語ったように、ジュニアを卒業した今季はまずは日本選手権優勝を目指す。
中部電力に新戦力が加入し、6人体制へ
年度が変わった翌4月1日には中部電力から大きなニュースが配信された。「新規加入選手のお知らせ」として、江並杏実(あみ)の加入を発表。今年の日本選手権ではSC軽井沢クラブのメンバーとして準優勝に貢献した選手だ。
2022/23シーズンはフィフスの松村千秋が谷田康真(北海道クボタ)と組むミックスダブルスでの活動を優先して過ごし、それが実を結び日本選手権を3年ぶりに制した。来たる2023/24シーズンはダブルスの日本代表ペアとして2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を目指しさらなる強化を積んでゆく。
そのため、松村がチームに帯同できないケースも増えてくるだろう。松村はチームのサポートを中心とした6人目の選手、あるいはミックスダブルスへ特化した所属選手という位置付けだ。中部電力としては既存のチームを強化しつつ、松村の挑戦を後押しする6人体制を敷いた形になる。
江並はもともとジュニア時代から「ファイヤーボンバー」という知る人ぞ知るチームで、北澤育恵、中嶋星奈、鈴木みのりらとプレーしていた。2016年の日本選手権には「チーム軽井沢」というチーム名で出場し、山本冴(北海道銀行)ー江並ー鈴木ー中嶋というラインナップでプレーオフに進出した実績もある。チームビルディングはスムーズに進行するだろう。新しい矢を得て来季は2019年以来の日本選手権優勝、そしてその先にありチーム結成以来の悲願である、五輪出場を目指す。
江並の古巣である日本選手権準優勝のSC軽井沢クラブは、金井亜翠香、西室淳子、両川萌音(もね)、上野美優という4選手に加え、世界ジュニア準優勝メンバーである上野の妹・結生がトップチームの編成に名を連ねる可能性がある。
ただ、上野結生は3月に行われた日本ジュニア選手権に北海道銀行の田畑百葉らと「札幌協会」の一員として出場し優勝。田畑と上野、仁平美来(北海道銀行)、中島未琴(同)、池田葉南(はな/北海学園札幌高)の5選手は来季をジュニアの日本代表選手としても過ごし、来年2月にフィンランド・ロホヤでの世界ジュニア選手権に出場するため、上野結生や北海道銀行は代表チームの活動と調整しながらのスケジュールで動くことになる。そのあたりも来季の鍵になりそうだ。
世界ジュニア準優勝チームは札幌の名門大学へ
その田畑や上野らと日本ジュニア選手権決勝で対戦したのが名寄協会JC (JJクレッシェンド)だ。上野、三浦由唯菜、松永愛唯、佐久間優名は2022/23シーズンのジュニア代表選手でもあり、2月にドイツ・フッセンで行われた世界ジュニア選手に出場し、準優勝という好成績を残している。
この春に高校を卒業した三浦、松永、佐久間はカーリングの名門・札幌国際大学に進学。前述の日本ジュニアを共に戦った高橋佑奈を加えた4人で新生活を始める。また北海道から強いチームが出てきそうだ。
これにより、来季の北海道ブロックはフォルティウス、北海道銀行、ロコ・ステラなどの強豪に加え、世界ジュニア準優勝メンバー擁する札幌国際大学、日本ジュニア4位の札幌ジュニア(crown)、高校選手権準優勝の帯広選抜(Jewelry Ice Curling Team)、昨年のどうぎんクラシック準優勝のStrahl(シュトラール)etc……。最激戦区がさらに加速しそうな気配だ。
例年どおりであれば、まずは8月上旬のどうぎんクラシックで来季の幕が上がる。2026年に向けての代表選考に関わるシーズンだけに、北海道だけでなく全国のチームの動向が注目されるところだ。
気になるのは昨夏から休部状態が続く富士急だ。この春の時点でチームの活動状況や加入選手についてのリリースなどは出ていない。かつては日本選手権も制し、西室淳子や小穴桃里ら多くの名カーラーを輩出してきた好チームだけに、その始動が待たれる。
どうぎんクラシックまでに各チームがどんな編成を組むのか。2026年に向けてのレースがいよいよはじまる。