NY金5日:雇用統計前で低ボラティリティも、ドル高継続で続落
COMEX金4月限 前日比4.70ドル安
始値 1,200.20ドル
高値 1,208.90ドル
安値 1,195.80ドル
終値 1,196.20ドル
為替市場でドル高が継続していることが嫌気され、続落した。
アジアタイムは1,200ドルの節目でサポートされて小幅切り返す動きも見られたが、欧米タイムはドル高連動で下値を切り下げ、本日は引け値ベースでも1,200ドル台を割り込んでいる。明日に2月米雇用統計の発表を控えているが、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和(QE)の詳細を発表したことが、ユーロ安・ドル高を促していることがドル建て金相場の上値を圧迫している。ニューヨークタイム入り後は、米新規失業保険申請件数の増加を受けて1,208.90ドルまで急反発する場面も見られたが、引けにかけては改めて売られる展開に。もっとも、雇用統計の結果待ちのムードも強く、最近のレンジ内での値動きに留まった。
ECBのドラギ総裁は、3月9日から債券購入を開始すると表明した。概ね想定されていた通りのスケジュールだが、改めてECBが金融緩和策を強化することが認識される中、ユーロ安・ドル高傾向が強くなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げスケジュールに不透明感が強くなっているが、いずれにしても米国が相対的に金融緩和離脱から最短距離に居ることが再確認されていることが、ドル高を通じてドル建て金相場の上値を圧迫している。ECBの緩和拡大そのものは金相場に対してポジティブとも言える。ただ、それ以上にドル高(ユーロ安)のインパクトが大きくなる中、ドル建て金相場の戻り売り基調に変化はないだろう。
本日発表の新規失業保険申請件数は、前週比+32.0万人となった。前週の+31.3万人から上振れしたことでショートカバー(買い戻し)を誘う場面も見られたが、大きな値動きには発展せず。絶対水準としては依然として低く、明日発表の雇用統計に対する期待感が維持されている。もっとも、早期利上げ観測を本格的に強めていくには、雇用者数の増加に加えて、平均時給や労働参加率の上昇、広義失業率の低下など、より幅広い分野で雇用環境の改善が示されることが必要と考えている。金相場のダウントレンドには修正はないものの、3月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までのダウントレンドは緩やかなペースに留まる見通し。
アジア現物買いに一服感が広がる中、引き続き1,200ドルの節目割れを打診する展開がメインシナリオになる。米指標の大幅悪化、金融当局者のタカ派発言といった動きが限定されれば、ドルやCRB商品指数などに対する割高感を是正する形で、ダウントレンドが維持される可能性が高い。まずは、米雇用統計発表をきっかけに、その流れが加速する否かを見極めたい。