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台風10号は本州付近で迷走する可能性も?首都圏でのピーク時期は依然つかめず

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲と雨の様子(ウェザーマップ)

アメダスで600ミリ超、解析雨量で1000ミリ超も

48時間降水量(ウェザーマップ)
48時間降水量(ウェザーマップ)

非常に強い台風10号は、鹿児島県の薩摩地方に最接近しつつ、北上中です。タイトル画像にある通り、台風本体の活発な雨雲がかかり、九州では所々で猛烈な雨が降っていて、宮崎県美郷町付近では、きょう29日(木)午前2時までの1時間に約120ミリの猛烈な雨が降ったとして、記録的短時間大雨情報が発表され、宮崎県や鹿児島県では、線状降水帯が発生し、大雨災害の危険度が急激に高まっている地域があります。

きょう29日(木)午前5時までの48時間雨量は、実測値のアメダスで、宮崎県神門で637.0ミリ、鹿児島県肝付前田で543.0ミリなどとなっていて、解析雨量では、屋久島で1100ミリ以上、鹿児島県錦江町、肝付町、霧島市などで800ミリ前後に達しています。

非常に強い勢力で九州西岸に沿って北上

台風10号の予報円(ウェザーマップ)
台風10号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風10号予報円(気象庁発表)

非常に強い台風10号は、きょう29日(木)午前4時現在、薩摩地方のすぐ西海上にあって、中心気圧935hPa、最大風速50メートル、最大瞬間風速70メートルの台風による特別警報が発表される勢力で北上しています。引き続き、鹿児島県には、暴風、波浪、高潮の特別警報が発表されています。

台風10号がきょう29日(木)未明に最も近づいたとみられる枕崎では、海面気圧961.5hPa、最大瞬間風速51.5メートルの猛烈な風を観測しました。枕崎で50メートル以上の最大瞬間風速を観測するのは20年ぶりです。

台風10号は非常に強い勢力で北上し、きょう29日(木)午前9時に、熊本県牛深付近に到達する予想で、この頃までは今と同じ勢力予想ですから、場合によっては、熊本県などにも台風による特別警報が発表されるかもしれません。その後は徐々に勢力を落とすものの、きょう29日(木)夕方以降、非常に強いあるいは強い勢力で、長崎県から熊本県に上陸するおそれが高くなっていて、引き続き、大雨、暴風、高波、高潮に最大級の警戒が必要です。(気象庁発表情報

本州付近で迷走も?首都圏のピーク時期は依然つかめず

台風10号の予報円(ウェザーマップ)
台風10号の予報円(ウェザーマップ)

台風10号は、あす30日(金)にかけて、九州付近を東進した後、あさって31日(土)にかけて、四国付近に進む可能性は高くなりました。この頃には暴風域はなくなっている予想です。ただその後の進路は、未だ不確実性が高くなっていて、これは日本海北部を流れる偏西風と日本の東にある太平洋高気圧の予想がまだ安定しないためです。

最新の予報円の真ん中を進むと、9月1日(日)午前3時にはいったん紀伊半島沖の太平洋上に抜けるものの、その後は再び北上し、2日(月)午前3時には大阪付近、そして3日(火)午前3時には、まだ東北地方にある予想です。きのうの予報円よりまた東進が1日程度遅い予想となりました。四国付近からの進路は依然としてかなり不確実な状況で、週明けになっても、まだ四国や九州付近にある迷走を予想する計算も多々存在します。

首都圏など、東日本ではいつ台風10号のピークを迎えるのか、未だ判然としない状況が続いています。引き続き、最新の予報円を必ずチェックするようにしてください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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