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好きなお酒は「ハイボール」!20歳になった加藤清史郎が語る“大人の話”

島田薫フリーアナウンサー/リポーター
芸能生活20年を迎え、成熟を見せる加藤清史郎さん(撮影:すべて島田薫)

 生後2ヵ月で事務所に所属し、1歳1ヵ月でデビュー、芸能生活は間もなく20年になります。“こども店長”として大人気となり、子役ブームを牽引してきた加藤清史郎さんは、現在20歳。7月から、ドラマ『競争の番人』(フジテレビ系)にスーツ姿で出演中です。そんな加藤さんに、好きなお酒やお薦めの組み合わせ、留学生活から今苦労していることまで、“大人な日々”について聞いてみました。

—現在20歳。周囲の反応は変わりましたか?

 20歳になってからの約1年間で「もう20歳なんだ!」という声をたくさんいただきました(笑)。そんな声をいただけばいただくほど、僕も大人にならなきゃいけないな、と思うようにはなっています。

—日本中で「大きくなったね」と言われると、疲れることはないですか?

 自分のことを知ってくださっている人が多いのは、ものすごくうれしいです。皆さん「あんたのオムツを換えたんだよ」くらいの親近感を持って言ってくださるんですけど(笑)、そう言ってくださる人が1人でもいるだけで幸せです。ありがたいことに、たくさんの方にそう言っていただけることは本当に恵まれているなと思います。

—「子役出身者は、大人への移行が難しい」とも言われます。脱却で苦労したことはありますか?

 正直、やっていることは何も変わらないです。子役だろうと大人の役者だろうと、求められるものは本来一緒だと思うんです。だから、脱するという意識は特に必要ないと思っています。

 子役の頃にいただいた役は子どもの頃にしかできないですし、今の役は子どもの頃には絶対にできなかった。年齢は役を制限する要素の1つですが、一方で可能性を広げてくれる要素の1つでもあると思うので、あまり意識はしていないです。

—好きなお酒はできましたか?

 1年かけていろいろなお酒を楽しんだうえで、今一番おいしいと思うのは、ハイボールです。油っぽいものやお肉と一緒に飲むことがすごく好きで、餃子と一緒に飲むハイボールは最高です。あとは日本酒も好きですし、焼肉にジンソーダもいいですね。

—高校の3年間、イギリスに留学されたのは思い切った決断でしたね。

 単純に興味がありましたし、挑戦したいことがたくさんあったんです。仕事もしたかったので、一時帰国している夏休み期間には、できる限り仕事もさせていただいていました。

 仕事のスケジュールで皆に迷惑をかけてしまうから、チームスポーツはずっとできなかったですが、イギリスにいる期間はサッカー三昧の日々で、朝から晩までサッカーのことを考えていました(笑)。休日は外に出て、芝居・歌のレッスンを受けて、ミュージカルの聖地であるウエスト・エンドで作品を観ました。

 僕が演劇・スポーツ・学園生活をすべて楽しめたのは、3年間イギリスにいたからだと思います。

—留学生活が、今回出演する(演出家らが海外のスタッフの)ミュージカル『BE MORE CHILL(ビー・モア・チル)』に役に立っていることはありますか?

 1つは、通訳なしで話すことができて直接リアクションがもらえるので、すごく楽しいです。後は、演出家の意思を汲み取りやすくなったと思います。話す言葉が違うと、訳し方や人によって捉え方も違ってきます。日本語にしかないニュアンス、日本語にはないニュアンスの英語、細かいことですが、元の言葉が分かるということは良いことだと思います。

 3年間の留学によって、言葉だけではなく、欧米の文化や感覚なども分かることが随分増えました。知識が増えるのは、人と関わっていくうえでためになると、今の現場ですごく感じています。

 主演の(「Hey!Say!JUMP」)薮宏太さんとは、『任侠ヘルパー』(2009年、フジテレビ系)というドラマでご一緒させていただいてから13年ぶりの共演なんです。あの頃は8歳と20歳でしたが、今回は高校の同級生・親友役です。僕の中では変わらず“お兄ちゃん”ですけど、共通の趣味が海外サッカーなので、その話で盛り上がっています。

 僕にとって、サッカーはイギリスに行ってからできた趣味。そういう意味でも、留学したことで得られたものが多いなと、改めて感じています。

—今回の舞台は何が大変ですか?

 一番大変なのは、僕が演じるマイケルのソロ曲「Michael in the Bathroom」です。世界中に『BE MORE CHILL』のファンがいて、その中でもとても人気がある曲で、世界中の人が「歌ってみた」動画を出しているような曲なんです。それを、初めてアジア人が本公演で歌うということでプレッシャーもあります。

 舞台上で、ここまで感情の浮き沈みを表現するソロ曲を歌うのは初めての経験なので、ミュージカルの土台にぶつかっている、という感覚があります。ミュージカルは表現方法がいくつもあるし、歌と芝居のバランスがキレイでないといけない。今、根本的な難しさを改めて感じています。

—歌のレッスンを本格的に始めたのはいつからですか?

 小学4年生で『レ・ミゼラブル』に出た時からボイストレーニングをしていましたが、高校生で声変わりをしたので、帰国後はゼロからやり直しでした。体は楽器なので、体の大きさや音域が違えば、トランペットがトロンボーンになるくらいの変化はあります。

—6月末まで出演していたミュージカル『るろうに剣心 京都編』では、走る姿がカッコよかったです。

 ご存じのとおり『るろうに剣心』の原作は漫画で、僕は100mを2秒で走るという特殊な足の速さを持つ“瀬田宗次郎”を演じました。目に映らない速さで走る役ということで、映像であればワイヤーやCGを使えますが、お客さんの目の前で何ができるかといったら、僕にはとにかく“走る”しかなかった。でも、体を動かすことは好きなので全く抵抗はなかったです。

—今は大勢の子役の人たちが活躍していますが、加藤さんからはどう見えますか?

 僕は、舞台で一緒になる子役さんには「明日は夜公演だけだから、学校に行ってくるんだよ。頑張ってね」などと、声をかけています。僕は子どもの頃、共演している方たちから「明日、朝から学校行ってらっしゃい!頑張ってね」と言ってもらうだけで頑張れました。

 僕は学校が好きでしたが、仕事で疲れている時は行くまでがつらかったりするので、背中をポンと押してあげる、まではいかなくても、撫でてあげるくらいのことはできたらいいなと思っています。子どもって「行ってらっしゃい」の言葉1つで頑張れたりするんです。

—普段の生活を、きちんとした方がいいということですね。

 子役時代、僕はすごく恵まれた環境にいたので、「学業と両立させたい」と言い続けてくれた親と、それを受け入れてくれた事務所と、スケジュールを合わせてくださった現場の皆さまのおかげで、学生生活を謳歌しながら自分の好きなこと、自分の仕事にしていきたいことを見つけることができました。

—今後の夢・目標は?

 「挑戦したことのないことに挑戦し続けること」です。芸能活動も20年くらいになりますが、初めてサラリーマンの役を演じたり、初めて居酒屋でお酒を飲むシーンの撮影があったり、今回のミュージカルでは初めてソロで5分以上歌わせていただいたり、初めてのことだらけなんです。

 今後は、バンジージャンプも挑戦してみたいし、お仕事ではまだ経験したことのない役にチャレンジしたいです。とはいえ、子どもの頃にやった同じ役柄でも今やればきっと変わると思いますし、出会いすべてに1つ1つ向き合って楽しみながらやっていきたいというのが、自分の中での目標、ポリシーかもしれないですね。

【インタビュー後記】

「子役を脱却する必要はない」。そう言われてハッとしました。子どもの頃から印象は変わらないけど、しっかり大人になっています。今まで、仕事に学業にとやるべきことをやってきたからこそ、積み上げるものでこそあれ、変わるものではない。大いに納得しましたし、環境に恵まれているという言葉もその通りだと思います。帰国後の清史郎さんの舞台はすべて観劇していますが、身体能力の高さが素晴らしく、今度は歌を堪能したいと思います。

■加藤清史郎(かとう・せいしろう)

2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。生後2ヵ月から事務所に所属し、1歳1ヵ月でデビュー。2009年NHK大河ドラマ『天地人』で主人公・直江兼続(妻夫木聡)の幼少期を演じ、注目を集める。同年、トヨタ自動車のCMに「こども店長」として出演して大人気に。他、舞台『レ・ミゼラブル』、『るろうに剣心 京都編』、ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)など数々の作品に出演。現在、ドラマ『競争の番人』(フジテレビ系)が放送中。ミュージカル『BE MORE CHILL』は7/25~8/10、東京・新国立劇場にて上演。その後、福岡(8/20、21)、大阪(8/27~29)でも上演される。

フリーアナウンサー/リポーター

東京都出身。渋谷でエンタメに囲まれて育つ。大学卒業後、舞台芸術学院でミュージカルを学び、ジャズバレエ団、声優事務所の研究生などを経て情報番組のリポーターを始める。事件から芸能まで、走り続けて四半世紀以上。国内だけでなく、NYのブロードウェイや北朝鮮の芸能学校まで幅広く取材。TBS「モーニングEye」、テレビ朝日「スーパーモーニング」「ワイド!スクランブル」で専属リポーターを務めた後、現在はABC「newsおかえり」、中京テレビ「キャッチ!」などの番組で芸能情報を伝えている。

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