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カーリングのミックスダブルス世界選手権で松村千秋と谷田康真が快進撃中。史上初のメダル獲得も視野に。

竹田聡一郎スポーツライター
開幕6連勝で大会唯一の全勝チームとなった (C) WCF / Eakin How

「打たれ強い」ペアの快進撃

 韓国・江陵で開催中のカーリングのミックスダブルス世界選手権は大会4日目を終え、日本代表の松村千秋(中部電力)と谷田康真(北海道クボタ)ペアは無傷の6連勝でグループBの首位に立っている。

 昨年大会銅メダルのドイツ、国別の世界ランキングで2位のノルウェー(日本は13位)、5位のスウェーデン、7位のアメリカなど、強豪国を次々と撃破。特に全勝対決となった25日のノルウェーとの一戦では2エンドに大量4点を奪われ、3エンドに3点返した直後の4エンドにも3失点を喫すなど、2度のビッグエンドを献上しながらスチールやパワープレーで有効に加点し、最終的には勝利を収めている。

 ノルウェー戦を終え、松村は「私たちの良さが出てると思います。打たれ強い!」と笑ったが、2月の日本選手権でも4点を奪われる試合が3試合もありながらそのすべてで逆転劇を演じている。粘り強さは今大会も健在で、劣勢でもチャンスを待つ耐性が際立った印象だ。

「死に物狂いでやっている」

 出場20か国を2ブロックに分け、10チームずつで行われている一次リーグは残り3試合だ。

 日本はまず26日の14時からトルコと対戦する。ディルサット・ユルディズは女子の世界選手権で日本代表のロコ・ソラーレに土をつけたトルコ女子代表のスキップでもあるが、元々はミックスダブルスでキャリアを積んできた選手だ。ランキングこそ日本が上位だが、決して油断できない相手だ。

 予選最終日の27日はダブルヘッダーをこなす。朝10時からはスペインとの試合だ。今大会、ドイツから白星を挙げ、ノルウェーやスイスとの試合ではエキストラエンドまでもつれる接戦を演じるなど好調を維持している。

 最終戦は世界ランキング3位のスイスと戦う。ヤニック・シュワラーは男子スイス代表のスキップでもあり、世界選手権で銅メダルを獲得した世界トップのカーラーのひとりだ。そのパートナーのブライアー・シュワラー・ヒューリマンも女子のスイス代表でリードとしてスイスの全勝優勝に貢献している。

 余談ながら、ブライアーの父親パトリック・ヒューリマン氏は1998年長野五輪の金メダリストで、母親のジャネット・ヒューリマン氏は2017年に中部電力のコーチを務め、松村を指導していた時期もあった。何かと日本に縁のある選手でもある。

 クオリファイ(プレーオフ進出)は各ブロック上位3チームの計6チームだが、各ブロック1位通過国は準決勝に駒を進めるレギュレーションとなっているため、松村と谷田がこのまま首位でのクオリファイを決めた場合、ベスト4、つまり日本のミックスダブルス史上最高位が確定することになる。

 ただ、谷田はWCF(世界カーリング連盟)の勝者インタビューで、準決勝進出についての少し気の早い質問を受けるも「3試合残っているから準決勝のことは考えてない」と勝って兜の緒を締めた。

 好調の要因についても「目の前の一戦に勝たないと先はないので、自分たちのパフォーマンスに集中して死に物狂いでやっているのがいい結果になっている」とあくまで慎重かつ謙虚な姿勢は崩さない。

 日本代表はこの10年あまりで、ロコ・ソラーレによる2016年の女子世界選手権ファイナル進出を皮切りに、同年にSC軽井沢クラブ、2019年にはコンサドーレがそれぞれ男子世界選手権でベスト4に進むなど世界でも上位に顔を出せるようになってきた。ジュニア世代でも女子が昨季と今季の2シーズン連続でファイナルに挑んだ。どれも歴史的な成績である一方で、ミックスダブルスでは4強は未踏でもある。まずはトルコ戦。ふたりの挑戦はこれからが本番を迎える。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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