日本はどこから天然ガスを輸入しているのか
天然ガスの輸出入方法は「パイプライン」と「LNG」
天然ガスは石炭や石油と比べ、環境負荷が小さいという特性があり、特に火力発電用燃料として注目されている。さらに昨今の日本では先の震災以降、イレギュラーな発電事情の変化により、急速に需要が増加している。
天然ガスの輸送方法は大きく二つに分けられる。一つはそのままパイプラインによって運ばれるもの。輸出入国が陸続きで設備が整っているのなら、この手法の方が安上がりで済む。それが出来ない場合、LNG(Liquefied Natural Gas。液化天然ガス。天然ガスを運びやすく・貯蔵しやすくするため、凝縮して液化させたもの)化した上で、海上輸送で輸送することになる。例えるなら、水をそのまま水道管で流すか、ペットボトルに詰めて輸送するかの違いである。
パイプラインを使った天然ガスの輸入はドイツ、アメリカ合衆国が世界で第一位・二位を占めている(国際石油資本BP社による「Statistical Review of World Energy 2013」から、以下同)。ドイツがノルウェーやロシア連邦、オランダから大体均等で輸入している一方、アメリカはほぼすべてをカナダから受け取っており、国毎の特性が顕著に表れている。
日本の場合は国内間のはともかく、海外のラインは無いため、必然的にLNGに頼ることになる。次のグラフは2012年におけるLNG経由での天然ガス輸入量上位国の動向を記したものだが、日本が断トツのトップについている。しかも2011年から2012年にかけて、さらに輸入量を積み増ししている。
2011年から2012年における増加は、発電事情によるものに他ならない。
この日本の輸入量の多さはパイプライン経由におけるドイツやアメリカ合衆国の分をもしのいでおり、天然ガス輸入量全体としても、日本が最高量を示している。
徹底的な分散化で天然ガスを輸入する日本
日本の天然ガス(LNG)輸入元だが、これだけ大量のガス需要をまかなうため、多種多様な国からのものとなる。これはLNG化するための設備許容量や港湾施設の問題もあるが、リスク分散という観点に寄るところも大きい。
データ取得元の「Statistical Review of World Energy 2013」では、輸出した側の国が横軸に並んでいるが、その横軸の国すべてに数字が配されている(=その国から輸入している)のは日本のみ。パイプライン経由とLNGを足した、総合値としての輸入量でもトップを行く日本が、いかに天然ガスの調達に苦心をしているか、分散化を進めているかがうかがえる。
同時にこれらの天然ガスが海上輸送ルートで運ばれている点を考慮すると、日本における海運そのもの、そして海上航行の安全確保の確保の重要性が、あらためて理解できるというものである。
※2013.08.29.11:50 日本におけるLNG輸入量における国別比率グラフ(BP社資料掲載分のみで作成)を追加しました
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