北海道のバイク死亡事故が示したドライブレコーダーの必要性とは
右カーブで一体何が起きたのか
バイクによる死亡事故が今週も相次いでいる。
6月14日(日)の午後、北海道小樽市の国道393号線、通称・毛無峠周辺でバイクが転倒する事故があり、運転していた女性(47)が搬送先の病院で死亡した。女性はツーリング中に転倒、道路脇のガードロープに衝突し全身を強く打ったと見られる。現場は片側1車線のカーブで路面は乾いていた。警察はライダーが運転操作を誤ったとみて事故の原因を調べている、という第一報だった。
ニュース映像からは、現場は緩やかな右カーブで事故を起こしたバイクは大型スーパースポーツモデル。車体の左側面が大破していることから、右カーブを曲がり切れず路肩にはみ出してガードロープに接触後、反対車線へ弾き飛ばされたように見える。フルフェイスヘルメットやチェストプロテクターなど残された遺品が、安全意識の高いライダーだったことをうかがわせた。
ネット上での記事への書き込みコメントなどから、現場は対向車線から右折して入るパーキングがある場所で以前から事故が多く発生していたようだ。もしかしたら、「右折車を避けようとしたのでは」という憶測が飛び交った一方で、現場近くにいたというドライバーなどから、「けっこう飛ばしているツーリング集団に見えた」という声も見られるなど、一時情報が錯そうしていた。
路面に空いた数センチの穴が原因か!?
一体そのとき何が起きたのか、真実を知りたいと思っていた矢先に続報が飛び込んできた。
地元のSTV札幌テレビが伝えたところによると、亡くなった女性は仲間十数人とのツーリング中だったそうだ。直後を走っていた男性の話では「女性は道路上にあった穴に前輪がはまり、ハンドルがとられたように見えた」とのこと。そこからハンドルがふられてコントロール不能になったようだ。路面には深さ数センチの穴が2か所あったという。女性はツーリング経験も豊富で現場も走り慣れた道だったようだ。警察では引き続き道路にあいた穴と事故との関連を調査中である。
バイクにもドライブレコーダーが必要だ
楽しいはずのツーリングが、このような悲劇的な結末で終わるとは、本人もさぞかし無念だったに違いない。自分もひとりのライダーとして、やり場のない悲しみと悔しさを覚えるとともに、前ぶれもなく襲いかかる交通事故の怖さに身が凍る思いがする。
こうした悲惨な事故が二度と起きないようにするためには、どうしたらいいのか。
振り返ってみると、今回の事故にはいくつかの教訓が見い出せる。まず、見通しの悪いコーナーで対向車線から右折でパーキングに入ることを禁止すべきだ。標識や路面標示を設け、右折できないようセンターライン上にプラスチック製の柔らかいポールを立てれば済むことだろう。
また、路上の穴など2輪が走行するのに危険を伴う路面があるならば、速やかに補修すべきだ。4輪にとっては何でもないアスファルトの剥がれや凸凹や砂利などでも、2輪にとっては致命的な事故につながる可能性もあるのだ。
さらに、今回の事故原因がまだ明らかになっていない段階での第一報では、バイク死亡事故では「死人に口なし」になるケースも少なくなく、それを防ぐには「バイクにもドライブレコーダーが必要」との意見が多く見られた。
最近では「あおり運転」よる被害も増加していることを考えると、もはやバイクにもドライブレコーダーは必須であり、できることならメーカー出荷段階で標準装備とするか、もしくは店頭オプションで装着できるものであれば尚良いと思う。技術的にも難しくはないだろうし、それで少々コストがかかったとしても文句を言うライダーは少ないのでは。自分で運転を誤った自損事故なのか、あるいは、他の車両や歩行者、動物などが絡む二次的な要因があったのかなど、事実を見極めるためにも必要だと思う。
最も大事なのは自制心と危険予知
そして、最も大事なこと。それは自制心と危険予知だ。急な右折車があっても、路面が荒れていたとしても、そこにある危険を予測して速度を十分に落としていれば、事故は避けられる可能性が高いし、万が一の場合でもダメージを最小限に抑えることもできるだろう。
今月6月19日から都道府県境をまたぐ移動が全面的に解除された。ぜひ細心の注意をして安全運転を心がけてほしい。
※原文より筆者自身が加筆修正しています。