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台風12号がもたらす高温 週末は関東で40℃近い可能性も

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
26日(日)の上空750m付近の気温と風(矢印)の予測。濃い暖色ほど高温。

台風12号は、25日(土)にかけて沖縄・奄美に接近。その後は、九州の西海上を北上する見通しです。台風の間接的な影響により、今週末は関東など東日本で高温となりそうです。

週末は40℃近い高温も

25日~26日(日)は、埼玉県北部や群馬県南部など内陸で、40℃近い高温となる所が出てくる可能性があります。40℃とまではいかなくても、関東・東海などは各地で、今年一番の暑さとなりそうです。

台風による風水害も怖いですが、犠牲者が多く出るおそれがあるという視点で見ると、高温への警戒も風水害以上に呼びかけが必要かもしれません。とくに、犠牲者の多くを占める高齢者は、周りからの積極的な声かけが必要になります。

高温になりやすい台風のコース

台風12号の進路予想図。
台風12号の進路予想図。

台風12号のコースは、関東など東日本で高温となるパターンです。台風が西回りで進むのは、台風を押し出すように、東から高気圧が強まっているからです。

また、台風が北上するとともに、熱帯域など南から熱が運ばれ、日本付近の気温のベースが高くなっています。台風が熱の輸送船の役割をするわけです。

さらに今回は、風が山地越えのフェーン現象となり、熱風となって吹き下りる東海や関東で気温が上がりやすくなります(記事最上図参照)。

台風+フェーン=高温

1933年7月25日の天気図(山形地方気象台)。日本海に台風がある。
1933年7月25日の天気図(山形地方気象台)。日本海に台風がある。
観測値が記されている昭和8年(1933年)の気象月報原簿。(山形地方気象台)
観測値が記されている昭和8年(1933年)の気象月報原簿。(山形地方気象台)
気象月報原簿の観測値。「40.8」℃の記録が記されている。(山形地方気象台)
気象月報原簿の観測値。「40.8」℃の記録が記されている。(山形地方気象台)

「7月25日」は長年、日本の最高気温記録の日でした。

1933年に山形市で40.8℃を観測。2007年に熊谷・多治見に抜かれるまで74年間、記録を保持していました。

40.8℃が出た時は、日本海まで台風が北上して南から高温の空気が運ばれ、さらに、山に囲まれた山形でフェーン現象が起こり、高温記録が出たのです。

今週末の関東や東海は、記録まではいかずとも、気温が上がりやすい条件はそろっています。

8月の天候は?

7月下旬は九州~関東を中心に厳しい暑さとなり、8月前半にかけて、高温が続く可能性もあります。

一方で、次の台風が、日本のはるか南東海上から近づいてくる予測データがいくつか出てきました。

一つの台風が、天候の流れをガラッと変えることはよくあります。

夏空と高温の流れを断ち切るのか、それとも、さらに暑さをもたらす要因になってしまうのか。もし発生すれば、カギを握る台風となりそうです。

■最新の台風予報:http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/typhoon/

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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