「韓国からのカネ」が惹き起こす北朝鮮の凶悪犯罪
北朝鮮では昨今の経済難により犯罪が急増していると言われている。正確な統計は公表されないので実態は不明だ。それでも、一部の情報が海外にも漏れ伝わっている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が、ある事件の伝えた。
北東部に位置する咸鏡北道の漁郎(オラン)郡で7月中旬、60代女性のAさんが殺害される事件が発生した。
3年前に夫と死別し、一人暮らしをしていたAさん宅を、実の妹Bさんが訪ねたが、血を流して死亡しているAさんを発見して、人民班長(町内会長)に報告した。
(参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた)
BさんがAさん宅を訪ねる2時間前、二人は電話で話をしていた。その内容とはこのようなものだった。
「脱北した家族から9000元(約19万2000円)を受け取った」
韓国のNGOである北朝鮮人権情報センター(NKDB)が昨年、韓国在住の脱北者を対象に行った調査によると、北朝鮮に残していた家族に過去1年間に1回以上送金したと答えた人は全体の20.0%、今まで送金した経験があると答えた人は63.5%に達した。
南北間で合法的に国際送金をする方法は存在しないが、ブローカーを通じて送金する事例は多く、韓国政府は事実上黙認している。北朝鮮に流入した資金は、市場経済化の進展に使われると見られるからだ。また、現金とともに、海外の情報が流入している点も、派生的な効果の一つだ。
電話ではおそらく「いくらか渡す」という会話があったのだろう。それでAさん宅を訪れたBさんが、変わり果てた姉Aさんを発見し、ショックのあまり泣き叫び、それを聞きつけた近隣住民が集まってきた。
安全部(警察署)は、どこからかAさんがカネを受け取ったという情報を耳にした犯人が、自宅に忍び込んでカネを盗もうとしたが、激しく抵抗されたため、凶器で刺して殺害したものと見ている。なお、自宅から現金9000元は発見されていない。
他人に迷惑をかけることを嫌い、とても静かに暮していたAさんの評判は非常に良いものだった。恨みを買うようなことのない彼女が無惨に殺されたことに、隣人たちは非常にショックを受けている。
「カネがなければ空腹に苦しみ、飢えから命を守らなければならず、カネがあれば強盗から命を守らなければならない不安な社会になってしまった」(情報筋)
強盗に大人しくカネを差し出す人もいるが、奪われると飢えに苦しむことになるため、激しく抵抗して怪我を負わされたり、殺されたりする事件が度々発生しているという。
情報筋によれば、空腹に苦しむ若者が集団で強盗を働く事件が起きているという。