【新型コロナ】ロンドンでは交通機関職員約7000人が一時解雇へ 乗車利用数の90%減少で大打撃
4月24日時点で、英国の新型コロナウイルス感染者数は14万3464人となった。これまでに、44万4222人が検査を受けている。
感染による死者数(入院者のみ)は、23日時点で1万9506人。これには病院以外(例えば高齢者用ケア施設)で亡くなった方の数が入っていないので、実際にはすでに2万人を超えているはずだ。
英国では、3月23日から外出禁止令が出ており、同居する家族以外の2人以上が公の場で集まることも禁止。外に出た場合は、他者と2メートルの距離を取る。この「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)」戦略のスローガンは、「自宅に留まろう。(国民医療制度の)NHSを守ろう。命を救おう(Stay at home, Protect the NHS, Save lives)」である。
今回の外出禁止は少なくとも5月上旬まで続くが、なかなか感染者数・死者数が減らないのが悩みの種だ。
日本同様、目に見えて大きく変わったことの一つが、電車・地下鉄・バスなどの公共交通機関の利用が大きく減少している点だ。
政府が24日発表したグラフ(以下)は、全国の交通手段の利用度を表したもの。2月上旬から4月22日までに、交通量全体は59%減少し、電車・地下鉄の場合は95%減少したという。
コロナで病院に入院している人の数は次第に下がる傾向にある。
しかし、ほかの国と比較すると、死者数(入院者のみ UK hospitals only)が急カーブで増える傾向はあまり変わっていない。
(*注:入院者のみを対象としている国やケア施設での死者を入れている国など条件が異なる場合が多いので、単純比較は難しいといわれている。)
ロンドンの苦境
首都ロンドンの様子を見る。ロンドン市交通局によると、主な収入源となる乗車による収入が90%減っている。ロックダウン開始日の3月23日以降、地下鉄の利用が95%、バスの利用は85%減少したためだ。
ロンドンのサディク・カーン市長は、交通局に勤務する2万8000人のスタッフの処遇をどうするかについて、政府や関連労組と協議してきた(BBCニュース、4月24日付)。
新型コロナ感染拡大を阻止するため、ロンドン市はこれまでに駅構内の除菌クリーニング、運行本数の減少、バスの場合は、乗り降りは運転手がいる前の部分のドアではなく、中央部分のドアのみに限定などの措置を取ってきた(少なくとも27人のロンドン・バスの運転手がコロナ感染症で命を落としている)。
ロンドン市は、来週から3週間、約7000人のスタッフを「一時解雇(自宅待機)」措置とし、政府の給与支援スキームによって、この間の給与の最大80%を肩代わりしてもらう予定だ。差額分はロンドン市が負担し、生活に支障が出ないようにするという。
ソーシャル・ディスタンシング政策はしばらく続くとみられており、今回の措置が3週間分で十分なのかどうかはまだわからない。
外出禁止令は27日から6週間目に入り、生活面、経済面で様々な変化が起きている。禁止令が一部解除されても、「一時的措置」が常態化する可能性が高いといわれている。