社債の発行額が過去最高額に迫る
今年の社債発行は9月までに10兆円を超えており、1998年の14兆円の年間記録更新が視野に入ってきている。1997年に起きた金融不安などから銀行による貸し渋りが起きたことなどから、1998年の社債発行額の増加となった。しかし、ここにきての社債の発行額の増加は、日銀のマイナス金利政策による金利の低下そのものが要因となっている。
投資家からすればすでに10年を超える期間の国債利回りがマイナスに転じており、少しでもプラスの利回りが残る社債へのニーズが強まる。発行体からすれば超低金利での資金の借り入れが可能となる。
今年は日清製粉グループ本社や東海カーボンなど初めて社債を発行する企業も出てきたそうである。社債を発行するには格付けを取る必要があるが、高い格付けを取得できれば低金利で社債が発行できるだけでなく、企業価値が外部から見やすくなるとともに、銀行の借り入れがしやすくなるなどの利点も得られる。
また、50年債などなるべく長い期間の社債も発行されている。これは社債を発行する側にとってたとえば50年もの長きにわたり低金利で資金を借り入れられることになる。設備投資計画などによっては資金繰りの面ではかなり楽になる。社債の購入者にとって期間の長い債券は通常は短いものより期間リスクがあるので金利が高い。ほとんど金利が得られないなか、そこそこ高めの金利はほしいところとなろう。
国債発行においても50年国債や60年国債などの発行も検討課題となろう。また、なるべく長めの金利を引き上げたい日銀にとっても50年国債の発行による影響なども意識はしているとみられる。しかし、国債発行については前倒し発行額がすでに50兆円を超えており、50年債の発行などよりもこちらをどのようにコントロールしていくのかも課題となっているのではなかろうか。