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NY原油22日:反発、決め手難の中でポジション調整中心

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.07ドル高

始値 59.44ドル

高値 60.30ドル

安値 58.93ドル

終値 59.68ドル

特に目を引くようなポジティブ材料は見当たらなかったが、過剰供給状態の長期化警戒を背景とした下げ相場を発展させていくことはできず、再び60ドル絡みの展開になっている。米原油在庫の減少観測、イラン核交渉の延長観測などがポジティブ材料とも言われているが、単純に新たなトレンド形成を拒否する動きと評価するのが妥当だろう。

マクロな需給に関しては、ほぼ弱気評価で統一が取れてきている。シェールオイル減産や需要拡大といった需給緩和是正の動きも見られるが、それ以上に石油輸出国機構(OPEC)からの増産圧力が強く、需給の緩みは解消できない見通し。ただ、季節要因から米原油在庫に取り崩し圧力が見られることなどをポジティブ材料視する向きもあり、上値が重いものの下げ切れない中途半端な相場展開が続いている。

イラン核協議に関しては、イギリスのハモンド外相が6月30日までの期限に最終合意がまとまらない可能性を示唆している。イラン側からも期限を守るよりも合意内容を重視するスタンスが示されており、交渉期限の延長観測が浮上している。こうした動きも、月末に向けてイラン情勢が大きく進展すると期待していた弱気派の失望を招いた模様。もっとも、イラン産原油の市場復帰時期が近づいていることには変化がなく、積極的に上値を試すような動きまでは見られない。

国際原油需給に関しては緩和状態が続くとの評価が確立する中、米原油在庫の減少傾向という数少ないポジティブ材料を消化できれば、改めて下値切り下げ傾向が強まろう。「国際原油需給の緩和見通し」と「米原油在庫の減少傾向」の強弱材料について、前者を重視する動きがやや優勢になり始めている。ただ本格的な値下がりにはドル安傾向に歯止めが掛かることが必要不可欠であり、60ドル水準のボックスを下抜けできるのか否かは、ドル相場の動向に依存することになろう。ドル高回帰が実現すれば50ドル割れも可能な相場環境とみている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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