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何度も何度も比べられた…何度も何度も一緒に戦った…今だから明かせる同期のライバル・松坂大輔への本音

上原浩治元メジャーリーガー
WBCでは2大会連続のMVPを獲得した(写真:ロイター/アフロ)

 ついに、このときが来たか…。6日、西武の松坂大輔投手から届いたメールは引退の報告だった。これまでも連絡を取り、体の状態などは聞いていた。昨年7月の「脊椎内視鏡頸椎手術」は私生活にも影響するほどで、復帰は簡単ではなかった。

 日米通算170勝。野球ファンならずとも知っている「平成の怪物」。大学卒と高校卒の違いこそあるが、同じ1998年のドラフトでプロの世界へ飛び込んだ〝同期〟でもある。高校時代からスター街道を歩み続け、ここまでよく投げたと敬意を表したい。

 交流が始まったのは1年目のオフからだったと記憶する。お互いにセ、パの新人王になって、イベントなどで顔を合わせる機会が多かった。アテネ五輪やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではともに日の丸をつけて戦った。

 2003年11月に札幌ドームで行われたアテネ五輪予選を兼ねたアジア選手権。登板日に気合十分にロッカーからグラウンドへ向かうとき、カレーを食べてリラックスしている大輔が目に入った。「(松坂投手が登板する)明日は、俺がカレーを食ってるからな!」。お互いに勝利投手になった。雰囲気が良いチームだからこそ、できたやり取りだ。1年目のオールスターはお互いに先発で投げ合い、ともに優秀選手賞をもらったことも懐かしい思い出になっている。

 まっすぐとスライダーは超がつくほどの一級品。何よりも驚かされたのは「投げるスタミナ」だった。150球を投げて完投してもローテーションを崩さない。かなわないと思った。

 本音を言えば、解説者として投げている姿を見たかった。ユニホームを脱いだ自分が、一人の野球ファンとしてあの投球を見たかった。高校時代から自らの名前を冠した「松坂世代」を牽引し、私自身も現役時代は負けたくないと刺激をもらった。いつもメディアからは比較の対象になった。

 元阪神の藤川球児氏や中日一筋の岩瀬仁紀氏、下位指名からはい上がって広島や阪神で活躍した新井貴浩氏ら、、、。ドラフト最強年代を自負する1998年組も現役は今季、大輔と福留孝介選手だけだった。

 引退を公表して少しはホッとしているのかな。来季は機会があったら、一緒に解説席に座って、野球界を盛り上げたい。大輔の野球観にじっくり耳を傾けてみたい。YouTubeチャンネル「雑談魂」の出演オファーも出したいなあ(笑)。でも、まずは今季を全うした後に、「お疲れ様」を言いたい。一つの時代が幕を下ろそうとしている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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