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「おこづかい?おこずかい?」もう迷わない!日本語教師が教える「づ・ず・じ・ぢ」の書き方ルール

高橋亜理香日本語教師/日本語・日本酒ライター

お読みくださってありがとうございます!日本語教師の高橋亜理香です。

みなさんは、「づ」と「ず」や「じ」と「ぢ」の書き分けに悩んだことはありませんか?

「おこづかい」VS「おこずかい」

現代なら、発音すればどちらも同じ音ですが、いざ入力しよう、書こうとするときにふと「あれ?」と止まってしまう人も多いのではないでしょうか。実際にネット上でも、「おこづかい おこずかい どちらが正しい?」などのようなサジェストが出てきたりするものです。今回は、この小悩みを解決できる、簡単な日本語ルールをご紹介します!

日本語の「かな」には「現代仮名遣い」という目安がある

実は、日本語の「かな」の書き方には「現代仮名遣い」というルールがあります。これはあくまで社会生活の上での目安で、厳格な規範的要素のものではありません。そのため、特殊な専門分野や芸術活動などについては、このルールが必ず適用されるわけではないのですが、一般的な文章の場合はルールに沿えば間違いのない指針のようなものです。

基本は「ず」「じ」、オプションは「づ」「ぢ」

現代の日本語の場合、「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」は音声も同じで、区別はしないものと考えています。そのうえで、現代日本語では「ず」と「じ」が一般とされ、基本は「ず」「じ」を使用するというのがルールです。例外のルールにはまるものが、特別に「づ」「ぢ」で表されます。
じゃあ、タイトルに出てきた「おこづかい」と「おこずかい」はどちらが正しいのかというと…結論からいえば、実は「おこづかい」が正しい表記です。なぜかというと、これは例外に当てはまるものだからなんですね。
では、「づ」や「ぢ」を使用するのが正しいときのルールをご紹介します。

1.「ちぢむ」→同じ音の連呼(連続)の場合は「づ」「ぢ」を使う

ひとつ目は、同じ音が2回連続する言葉の場合「づ」や「ぢ」を用いるというルールです。
例えば、「ちぢむ(縮む)」「つづく(続く)」などが、そのルールに当てはまります。ちぢまる、ちぢめる、ちぢこまる、つづみ(鼓)、つづる(綴る)、つづら…なども同様なので、ぜひ覚えておいてください!

※ただし、「いちじるしい(著しい)」と「いちじく(無花果)」は、このルールが適用外の特別な言葉です。

2.「はなぢ」→2つの語を連合した場合は「づ」「ぢ」を使う

日本語のルールに「連濁」というものがあります。「ガス」+「かいしゃ(会社)」→「ガスがいしゃ(会社)」のように、2つの語が連合したときに、後ろの語が濁るというルールです。
2つ目のルールは、この連濁が「つ」「ち」に起こった場合、「づ」と「ぢ」が適用されるというものです。
例えば、「はな(鼻)」+「ち(血)」→「はなぢ(鼻血)」のような場合です。この場合は、最初の語「ち」に濁点をつけることになります。
身近な言葉では、みかづき(三日月)、はこづめ(箱詰め)、こづつみ(小包)、つねづね(常々)、にいづま(新妻)、てづくり(手作り)、こころづくし(心尽くし)、うたれづよい(打たれ強い)…など。「身近な」も、このルールで「みぢか」です。タイトルの「おこづかい」も「こ(小)」+「つかい(遣い)」の連合なので「おこづかい」が正しいのです。

ただ、現代日本語として2語に分けにくくなっているような言葉は、基本の「ず」「じ」でよいとされています。例えば、「せかいじゅう(世界中)」「いなずま(稲妻)」「さかずき(盃・杯)」「ほおずき(鬼灯)」のような言葉です。これらは「ず」「じ」が基本ですが、「づ」「ぢ」を使っても間違いではないという扱いとされています。
また「ひとりずつ」や「ちからずく」なども、このルールにあてて「ず」「じ」でよいということになっています。

3.「じめん」→漢字の音読みが元々濁っているものは「じ」「ず」

3つ目は、これ。元々漢字そのものの音読みが濁っているものは「じ」「ず」を使います。そう言うと少しわかりにくいのですが、「じめん(地面)」「ぬのじ(布地)」「ずが(図画)」「りゃくず(略図)」といったものです。特に「地」は「ち」という読み方があるので、そこに濁点をつけるのかと思ってしまいがちですが、「じ」はそもそも「地」という漢字の音読みなのです。

日本語はルールがあるので、知れば迷わない!

今回は、ついついどちらか悩んでしまう「ず」VS「づ」と「じ」VS「ぢ」の日本語かなルールのご紹介でした!「どっちだっけ?」といつも迷っていた人は、これでもう大丈夫!ぜひこのルールを覚えて役立ててみてください。

日本語教師/日本語・日本酒ライター

都内日本語学校の専任講師を経て、現在はフリーランスの日本語教師として留学生の日本語・進学指導やオンラインレッスンをしています。外国人の日本語学習を通して日本人の気づかない日本語を探究中。兼業で日本酒ライター・テイスターとして、父の故郷の秋田県をはじめとした日本酒の良さを伝えるお仕事もしています。保有資格:日本語教育能力検定試験、J.S.A.SAKE DIPLOMA、SSI日本酒学講師、SSI利酒師

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