マイケル・ダグラスもバイデン大統領の続投に「懸念」。“クルーニー効果”はどこまで広がる?
アメリカ時間10日、ジョージ・クルーニーが「New York Times」掲載した意見記事が、民主党支持者たちをざわつかせている。
長年の民主党支持者で、つい先月も、ジュリア・ロバーツ、ジミー・キンメル、オバマ元大統領らとともにロサンゼルスでバイデンのための政治資金集めイベントを主催したクルーニーが書いた意見記事の見出しは、「私はジョー・バイデンが大好きだ。だが、私たちには新しい候補が必要」。記事の中で、クルーニーは、「彼は多くの戦いに勝った」とバイデンの功績を絶賛しつつも、「時間との戦いには勝てない」と、彼の年齢を指摘。「これは私だけの意見ではない。上院議員、下院議員、州知事、私がプライベートで話した人たちはみんな同じ意見だ。誰も公には言わないだけ」とも書いた。
ほかのセレブリティのようにソーシャルメディアを使うのではなく、「New York Times」という大きな影響力を持つ一流紙に意見記事を掲載するという計画的な行動を取ったクルーニーは、明らかにそのインパクトの強さを狙っている。自分の記事がきっかけで、これまでバイデンに対して遠慮してきた民主党の政治家や民主党を支持するセレブも本音を発言するよう願っているのだ。事実、クルーニーは、記事の中でもチャック・シューマーやナンシー・ペロシなど最も有力な民主党の政治家を名指しし、「自主的に候補を降りるようバイデンに頼んでほしい」と呼びかけている。
その効果は、ほんの少し、見え始めている。クルーニーの記事が掲載されたのと同じ朝、テレビ番組「The View」に出演したマイケル・ダグラスは、クルーニーの主張について意見を聞かれると、「正しいことを言っていると思う。私も深く懸念している」と、賛同したのだ。
ダグラスも長年のバイデン支持者で、過去に政治資金集めイベントを主催したこともある。そんな彼は、「バイデンのことはとても好き。彼は50年も人々のために献身的に働いてきた。だが、今回の選挙は非常に大事。今日や明日ならば心配していない。でも、1年後となると、私は不安だ。懸念している」とも言い、民主党には優れた政治家がたくさんいると、次の候補者を出してくることには困らないはずだとも示唆した。ダグラスはバイデンよりふたつだけ若い79歳。
また、現地時間7日にX(旧・ツイッター)でバイデンに降板を呼びかけていたロブ・ライナーは、クルーニーの意見記事のリンクとともに、「私の友人ジョージ・クルーニーは、仲間内の多くが言っていることをはっきりと述べた。私たちはジョー・バイデンを愛し、尊敬している。彼がこの国のために多くのことをやってくれた。だが、今、民主主義は存続の危機にさらされている。戦うために、私たちには誰か若い人が必要だ。ジョー・バイデンは降りるべきだ」というメッセージをあらためて発信した。
現地時間11日、「New York Times」は、バイデンの選挙キャンペーンの分析チームが今週、カマラ・ハリス副大統領を候補に立てた場合の勝率はどうかと、密かに調査を行っていると報道。一方で、別の「New York Times」の記事には、バイデン本人はハリスを含むほかの候補者よりも自分のほうがトランプに勝てると信じているとある。
クルーニーの記事で名指しされたペロシは、10日、バイデンのお気に入りの番組「Morning Joe」に出演し、「彼(バイデン)は愛されており、尊敬されています。人は、彼自身に決断してもらいたいと思っています。それがどんなことであれ、自分で決めた通りにしてほしいと私は思います。そうであるべきです」と発言した。公にはバイデンへの変わりない支持を表明しているシューマーは、「New York Times」によると、バイデンに敬意を払いつつも、別の候補者を見つける方法を模索しているという。
つまり、今のところ、“クルーニー効果”は、民主党の重要人物たちの躊躇を払拭するほどには強くないということらしい。彼らを、そしてバイデン本人を動かすのは、誰のどんな言葉なのだろうか。