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スピードもキレも一級品の変化球!山本由伸・今永昇太・松井裕樹の投球を上原浩治が分析

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーリーグに新加入した日本人投手の活躍が華々しい。

 まずはドジャースの山本由伸投手。3月21日の韓国シリーズでは本領を発揮できなかったが、アメリカに戻ってきた3月30日には本拠地のドジャースタジアムでのカージナルス戦に登板し5回無失点と好投した。雨天の中断もあったが、68球で5奪三振。カーブに加え、スプリットが冴え渡った。

 何よりの要因はメンタル面での安定だろう。映像を見ていても、はっきり言って表情が全く違う。韓国シリーズのときはこわばっているように見えたが、カージナルス戦ではそんなそぶりが見えなかった。

 オリックス時代に3年連続沢村賞に輝き、メジャーの投手としては史上最高の契約を結んだことで重圧もあったのだろうが、2戦目でいつもの山本投手に戻れる修正能力は高く評価されていいだろう。

 当面は中6日で登板する予定で、今回は5回、68球とイニングも球数も少ない中で降板している。もっと長いイニングを求める声もあるだろうが、メジャーは春先には無理をさせない。これは調子に関係なく、チームの方針である。

 ドジャースが目指すのはワールドシリーズ制覇であり、ドジャースに限ったことではないが、プレーオフを見据えて尻上がりにコンディションも士気も高めていく。

 今永昇太投手も4月1日のロッキーズ戦で6回2安打無失点、9奪三振と圧巻の投球内容を披露した。メジャー初登板であそこまでの内容はなかなかできない。日本でももっと大々的に伝えていいと思うほどの内容だった。

 パドレスの松井裕樹投手も好スタートだ。まだ開幕直後だが、開幕から4戦で防御率0.00。首脳陣の信頼度は日に日に増している。彼の魅力は投げっぷりの良さにある。体は小さいが、持ち味の馬力を生かし、短いイニングに集中して勝負ができているように見える。

 3投手ともスプリットの評価が高いようだが、昔と違って、日本人投手以外にもスプリットを投げるメジャーリーガーは出てきている。決してメジャーの打者が見慣れていないからではなく、スピードやキレ、落差など一級品の球種だからこそ、三振を奪い、アウトも重ねることができている。

 もちろん、3投手とも勝負はここからだ。メジャーでの課題はスタミナだとされる。体力面もフィジカル面も、長丁場のシーズンに時差もある移動距離の長さなどによる疲労蓄積の影響は避けられない。シーズン終盤は大事な試合が続く。そこで結果を出してこそ、評価されるのがメジャーの世界。春先にしっかりと調整方法を確立させ、結果を出しつつ秋を見据えた投球を続けてほしい。

 開幕のスタートダッシュに、まずは3投手ともあっぱれを贈りたい!

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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