コロナワクチン接種後に皮膚病が悪化?最新の研究で判明した皮膚症状
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは終焉を迎え、日本でもワクチン接種が有料化されました。しかし、ワクチン接種後に様々な皮膚症状が報告されていることから、未だに多くの人が不安を抱えています。皮膚科医の間でも、ワクチン接種と皮膚疾患の関連性が注目を集めています。
今回は、COVID-19ワクチン接種後に現れる可能性のある皮膚症状について、最新の研究結果を交えながら解説します。
【ワクチン接種後に報告されている主な皮膚症状】
COVID-19ワクチン接種後に報告されている皮膚症状は様々ですが、主なものは以下の通りです。
・蕁麻疹(じんましん):ワクチン接種後、皮膚に赤い発疹が現れ、かゆみを伴うことがあります。通常は数日で自然に回復します。
・湿疹(しっしん):ワクチン接種後、皮膚が乾燥し、赤みやかゆみを伴う湿疹が現れることがあります。保湿剤の使用や、症状が重い場合は医師の診察を受けることが大切です。
・多形紅斑(たけいこうはん):ワクチン接種後、円形の赤い発疹が体の各所に現れることがあります。発疹は数週間で自然に治まることが多いですが、重症化する可能性もあるため注意が必要です。
・帯状疱疹(たいじょうほうしん):水ぼうそうのウイルスが再活性化し、片側の神経に沿って痛みを伴う発疹が現れます。早めの治療が大切です。(注:最近の研究では、ワクチンとは無関係との報告もあります。)
これらの症状は、ワクチン接種後数日から数週間以内に現れることが多いようです。症状の程度は人によって異なりますが、多くの場合、特別な治療を必要とせず自然に回復します。ただし、症状が重い場合や長引く場合は、皮膚科医に相談することをおすすめします。
【既存の皮膚疾患がある人はどうなる?】
既に何らかの皮膚疾患を抱えている人の中には、「ワクチン接種で症状が悪化するのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。実際、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)などの慢性皮膚疾患がある人では、ワクチン接種後に症状が悪化したという報告があります。
例えば、乾癬の症状がある人の中には、ワクチン接種後に皮疹が広がったり、関節の痛みが出たりした人もいます。アトピー性皮膚炎の人の中にも、ワクチン接種後に湿疹が悪化した人がいるようです。ただし、これらの症状はワクチン接種との直接的な因果関係は明らかではなく、皮膚疾患の自然な経過である可能性も考えられます。
万が一、接種後に症状の悪化を感じたら、早めに主治医に相談しましょう。適切な処置を受けることで、症状をコントロールできる可能性があります。
【まとめ】
多くの場合、ワクチン接種後の皮膚症状は一時的で自然に回復します。かゆみがある場合は、市販の抗ヒスタミン薬を使用するのも一つの方法です。ただし、症状が重い場合や長引く場合は、早めに皮膚科医に相談しましょう。
アトピー性皮膚炎や乾癬がある患者さんで、ワクチン接種後に皮膚症状が出現した経験がある方は、個人の状態によって今後のワクチン接種をするかどうか判断することになります。必ず主治医と相談してください。
皮膚は私たちの身体の一番外側にあり、外部からの刺激を受けやすい臓器です。もし皮膚に異変を感じたら、早めに皮膚科医に相談し、適切な処置を受けましょう。
参考文献:
- Martora F, et al. The Impact of COVID-19 Vaccination on Inflammatory Skin Disorders and Other Cutaneous Diseases: A Review of the Published Literature. Viruses. 2023; 15(7):1423. https://doi.org/10.3390/v15071423