都倉賢の「取扱説明書」をセレッソ大阪サポーター向けにお送りします
北海道コンサドーレ札幌の都倉賢がセレッソ大阪に完全移籍で加入することが正式にリリースされました。
札幌サポーターとしての感傷的な思いは個人ブログに書き殴ったので、このYahoo!個人コラムでは気持ちを切り替えて、客観的に都倉賢のプレーを評価し、セレッソ大阪のサポーター向けに彼の特徴を解説したいと思います。
都倉賢の「トリセツ」
都倉賢は2014年3月にコンサドーレに加入し、5年間在籍しました。5シーズン中4シーズンでチーム内得点王となり、コンサドーレの歴代最多ゴールの記録保持者(カップ戦含めて72得点)にまで登り詰めました。
32歳、身長187cmの長身FWですが、札幌では3-4-2-1の布陣で2列目(右シャドー)とワントップの2つのポジションをこなしました。
今季はリーグ戦30試合に出場し(先発19試合、途中出場11試合)、J1で自身初となる二桁得点(12点)を記録。
彼にはわかりやすい長所と短所があるのですが、まずは短所から説明します。
「止めて蹴る」の基本動作は上手くない
サッカーとは「止めて蹴る」の動作が8割方を占めますが、そのトラップとパスの基本動作がそこまで上手くありません。
FWに求められる「相手DFを背負ってボールを収めて味方にさばく」プレー、いわゆるポストプレーは得意とは言えません。
今季のリーグ戦、ワントップ(センターフォワード)のポジションは都倉賢が12試合、ジェイ・ボスロイドが21試合で先発しました(残りの1試合は内村が先発)。都倉賢がワントップで先発した12試合のボール支配率は平均47.85%、ジェイ・ボスロイドがワントップで先発した21試合のボール支配率は平均53.77%と明らかな違いが出ています。
都倉のところでボールを奪われて、そこを起点に相手のカウンターを喰らうケースも多かったので、その点注意が必要です。
長所は何と言っても「フィジカル」
続いて長所ですが、フィジカルが圧倒的に強いです。更に跳躍力もあるので、空中戦では無類の強さを誇ります。
J2を優勝した2016シーズンでは、規格外のヘディングゴールを決めました。なんと、ペナルティエリアのほぼライン上からの超ロング「ヘディング」シュートを決めています。
(ヘディングゴールの映像は1:18から)
フィジカルの強さはヘディングだけではありません。クロスの軌道がずれたとしても、アクロバティックに跳躍することでバイシクルシュートを何度も決めています。
そのうちのひとつが、今季4月のベストゴールに選ばれました。
利き足の左足から繰り出されるシュートも強烈です。札幌に移籍した初年度に決めたスーパーミドルシュートは、2014年のJ2最優秀ゴールに選ばれました。
最近はペトロヴィッチ監督の戦術の影響からか、あまり遠目からのミドルシュートを打たなくなりましたが、左足から放たれるシュートはインパクト大です。利き足でない右足でも、30歳を過ぎてからシュート技術が向上し、狙いすました鋭いシュートを打てるようになりました。
前線から献身的に守備も行うし、90分走り切れる持久力もあります。ここ数年は怪我による長期離脱がほぼなく、1年間フルで稼働できる丈夫さが売りです。
更に今季は「勝負強さ」にも磨きがかかりました。12ゴールを全て後半に決めており、そのうち5ゴールを後半アディショナルタイムに決めています。サポーター界隈では「あきらめの悪い男」というニックネームまで付きました。
彼のプレーを総評すると、「足元の技術は高くないが、ここぞというシーンで劇的なゴールを決めるストライカー」といったところでしょうか。
都倉賢のプライベートについて
奥さんは村上萌さんで、昨年第1子が誕生しています。
札幌在籍時代は、北海道ローカルのラジオ番組を持っていたり、将来的にワイナリーを持つための準備をしていたり(記事はこちら)、本業のサッカー以外でも精力的に活動していました。
ツイッターやインスタグラムを積極的に活用しており、毎試合勝っても負けても、ツイッターで試合を振り返る呟きをします。子育てのことや読んでいる本のことなど、プライベートについてもたくさん情報発信をするので、都倉賢のSNSの各種アカウントをフォローすると、彼の人となりを知れると思います。
コンサドーレを応援するサポーターとしては、看板選手の移籍で心にポッカリ穴があいた状態ですが、移籍してしまった事実は変わりないので、快く彼の旅立ちを見送ろうと思います。セレッソ大阪サポーターの皆様、都倉賢をよろしくお願いします。