ロシア「5キロ先のドローンを5秒で焼失させる新型レーザー兵器投入」ゼレンスキー大統領「ハッタリだ」
ゼレンスキー大統領「ロシア軍のプロパガンダです」
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。
ロシア軍はロシア製の「KUB-BLA」で攻撃を行っており、ロシア製の監視・偵察用ドローン「Orlan-10」で主に監視を行っている。
そして2022年5月にはロシアの軍事担当をしているボリソフ副首相は、上空5キロメートル先のドローンを5秒以内で焼失させることができる新型レーザー兵器「ザディラ」をウクライナでの紛争にプロトタイプを投入していることを明らかにした。
ボリソフ副首相はウクライナ紛争では上空のドローンを機能停止するシステム「ペレスベット」を既に配置してウクライナ軍のドローンを機能停止していると言及。副首相によるとペレスベットは地上から1500キロメートル上空にある衛星を機能停止することもできる。ペレスベットは中世の兵士アレクサンダー・ペレスベットから名づけられている。
そして副首相によるとザディラはペレスベットよりも強力なレーザー兵器で上空のドローンをレーザーで焼失して破壊してしまうとのこと。
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア軍の新たなレーザー兵器投入について「ロシア軍は脅威の兵器をアピールしようとしていますが、ナチスドイツも第二次世界大戦時に敗北を隠すために脅威の兵器をアピールしていました。これはロシア軍の軍事作戦が完全に失敗していることの証で、ロシア軍のプロパガンダです」と動画メッセージで伝えていた。
ウクライナ軍を支える攻撃用軍事ドローンと両軍に迫られる迎撃対策
ウクライナ軍はトルコの軍事企業バイカル社製の攻撃ドローン「バイラクタルTB2」をよく使用している。「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫やヘリコプターなどを爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献しており、ロシア軍にとっても脅威になっている。
他にも米国バイデン政権は米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」を提供。さらに「フェニックス・ゴースト」も提供する。英国も攻撃用の軍事ドローンをウクライナ軍に提供している。またウクライナで開発した軍事ドローン「PD-1」でもロシア軍に攻撃している。
ロシアとしてもこのようにウクライナ軍が多く攻撃ドローンを活用していることから、これらの攻撃ドローンへの迎撃対策が重要になってきている。
ウクライナ紛争では多くの攻撃ドローンや監視・偵察ドローンが使用されており、上空を多くのドローンが飛行している。そのためドローン迎撃システムも多く活用されている。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。今回のロシア軍が投入したと報じられているレーザー兵器「ザディラ」は明らかにハードキルだ。
アメリカはFlex Forceの「Dronebuster」とIXIの「Dronekiller」というドローン迎撃システムをウクライナ軍に提供。リトアニアからもリトアニアで開発されたドローン迎撃システム「EDM4S」が提供されている。これらは電磁波による妨害で上空のドローンの機能を停止して、地上に落下させてしまうため、攻撃や監視・偵察が行えなくなる、いわゆるソフトキルだ。またポーランドからはポーランド製の「Piorun」という携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)が提供。ドイツからは対空戦車「ゲパルト」が提供されている。これらは上空のドローンを物理的に破壊している、いわゆるハードキルだ。
今回のウクライナ紛争は歴史上でもドローンがここまで多く使われた初めての紛争である。そしてウクライナ政府は世界中に武器の提供を呼びかけており、これに応じて多くの国からドローンだけでなく兵器が提供されている。日本の防衛省もウクライナ軍に市販品の監視・偵察用ドローンを提供することを岸防衛大臣が明らかにしていた。