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ドイツから対空戦車「ゲパルト」ウクライナに到着「ロシアの上空からの攻撃に防衛を強化へ」国防大臣

佐藤仁学術研究員・著述家
ドイツの対空戦車「ゲパルト」(写真:アフロ)

ドイツがウクライナ軍に提供したゲパルト対空戦車3両が2022年7月にウクライナに到着した。ドイツからは弾薬1万発も提供された。ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防大臣もSNSで「ウクライナの上空の防衛が強化されます」とドイツに感謝を伝えた。

ドイツ国防省は2022年4月にウクライナ軍にドイツのクラウス・マッファイ・ヴェクマン社が製造している対空戦車「ゲパルト」50台を提供することを発表した。国防大臣のクリスティーネ・ランブレヒト氏は「今、まさにウクライナ軍が上空からの防衛に必要としている兵器です」とコメントしていた。ドイツ政府が発表した6月の武器供与リストにもゲパルトが含まれていた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してからロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンが監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ロシア軍はロシア製のドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っている。ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」やウクライナで開発した軍事ドローン「PD-1」などでロシア軍の装甲車を上空から破壊している。ウクライナ軍による軍事ドローンでの上空からのロシア軍への攻撃はロシア軍にとっても大きなダメージとなっており、ロシア軍のウクライナ侵攻に大きな足かせとなっている。このようにロシアとウクライナの紛争で軍事ドローンによる攻撃が続いている。

そのため上空からの攻撃に対する防衛は非常に重要であり、ミサイルだけでなく攻撃ドローンへの対策も安全保障の観点からも急務である。上空のドローンを機能停止したり、上空で爆破するためのシステムや兵器ももウクライナ軍には提供されている。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように軍人が持って上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

民生品の監視・偵察ドローンは攻撃してこないので、電磁波などのソフトキルや軍人が対空機関砲などで撃墜することも容易だが、かなりのスピードで突っ込んできて爆破するような軍事ドローンは人間の軍人が迎撃するのは非常に危険である。そのため対空戦車の方が適している。

また地対空ミサイルシステムや防空ミサイルのような大型システムで監視ドローンを攻撃して爆破させるのはコストもかかるし、大げさかと思うかもしれない。しかし監視ドローンこそ検知したらすぐに破壊しておく必要がある。監視ドローンで敵を検知したらすぐに敵陣をめがけてミサイルを大量に撃ち込んでくる。監視ドローンとミサイルはセットで、上空の監視ドローンは敵からの襲撃の兆候である。また部品を回収されて再利用されないためにも徹底的に破壊することができる"ハードキル"の方が効果的である。

ウクライナ軍はさらなる武器の提供も呼びかけており、オレクシー・レズニコウ国防大臣はドイツに対して短距離空対空ミサイル「IRIS-T」の提供も依頼している。

▼ウクライナ軍への対空戦車「ゲパルト」提供を伝えるニュース

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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