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銀行の振込手数料引き下げの動き。金利復活とともに同様の手数料は引き下げられる方向に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:西村尚己/アフロ)

 三井住友銀行は10月、個人客向けのインターネットやATM、窓口の振込手数料を引き下げる。ATMでの三井住友銀行内の口座への振込手数料を110円から無料にする。口座経由の他行向けは3万円以上の場合で330~770円から220~605円に下げる(9日付日本経済新聞)。

 こういった銀行の手数料は2016年の日銀のマイナス金利導入によって、採算を改善する必要が生じたため、上昇傾向が続いてきた。しかし、それにブレーキというか反転した動きがいよいよ出てきた。

 2024年3月の日銀金融政策決定会合において、日銀はマイナス金利政策と長期金利コントロールを解除した。

 日銀の政策金利は無担保コール翌日物の金利に戻してそれをゼロから0.1%としたが、政策金利の本格的な引き上げはこれからとなる。

 しかし、国債の利回りには上昇圧力が掛かり、2年国債の利回りは0.3%台、5年債利回りは0.5%台、10年債利回りは1%を超えるなど、やっと金利が付く時代が到来した。

 市場金利の上昇によって金利収入が増える可能性が高くなり、手数料の引き下げを通じて、預金を獲得していく戦略に銀行が転換してきた。

 三井住友銀行が振込手数料の引き下げに動けば、ほかのメガバンクも同様に引き下げてくることが予想される。

 これでほとんど利子が付かないのに、手数料だけ大きく引かれるといった状況が今後、改善されることが予想される。

 そもそも日銀は金利をマイナスに引き下げていったい何をしたかったのか。どうもそれによる効果(?)などよりも弊害の方が大きかったように思われるのだが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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