お待たせしました! 今年も、秋の札幌・東区の風物詩、タマネギ農家の軒先直売所がオープン(札幌市東区)
札幌市東区は、明治時代に開拓使が入植して以来、最も早くからタマネギ栽培が始まったエリアです。都市化が進み、周囲が住宅地になったところも多くなりましたが、今も、1反くらいの自家用の栽培者を含めると、東区にはまだ100件くらいのタマネギ生産者がいるそうです。この時期になると、そのうちの10件ほどが、農園の軒先で直売所を開きます。
日本のタマネギの歴史
札幌市東区北13条東16丁目にある「札幌村郷土記念館」には「我が国の玉葱栽培 この地にはじまる」と刻まれた碑があります。日本では江戸時代に長崎にタマネギが伝わっていますが、鑑賞用でしか広がりませんでした。
1871(明治4)年に、初めて札幌で試験栽培が始まりました。1880年から札幌農学校のブルックス教授らによる指導の下、導入された北アメリカの品種の「イエロー・グローブ・ダンバーズ」、後の「札幌黄」が作られたという歴史があります。つまり、国内で最初に食用のタマネギの生産が行われたのが、このエリアということになります。
札幌村はもともと、肥沃で風が強く乾燥しやすいという、タマネギ栽培に向いている環境だったこともあり、作付量が増加し、有数のタマネギの産地になります。
「札幌黄」は、病気に弱いことに加え、遺伝子に多様性があるため形が不揃いのものが多く、昭和50年頃から、病気に強く、品質が安定して日持ちのする交配種(F1)を育てる農家が増え、札幌黄の作付面積は徐々に減少していきました。現在の札幌黄の作付け面積は、札幌市のタマネギ全体(約300ha)の約3%くらいだそうです。
しかしながら、一般に流通しているタマネギよりも肉厚で柔らかく、加熱後の甘みが強いため、根強いファンが多く、「札幌黄」を好んで使う飲食店も以前よりも増えてきています。
タマネギの種はとても小さい!
野菜の多くは、種苗会社が種を作って販売しています。しかし、札幌黄の種は生産者自らが採取しています。
タマネギの種取りは、一度収穫したタマネギを冷蔵庫等で保管し、春にそのタマネギごと植えます。そうすると約2カ月ほどで花が咲き、9月にはそれを刈り取り、ネットなどに入れて乾燥させます。
乾燥させた種は、ふるいなどを使って選別して、小さいものや薄っぺらなものなどは除きます。
タマネギ農家のタマネギ直売所!
同区にある約10件のタマネギ農家では、収穫を終えると、選果作業をしながら直売所をオープンさせ、今年のタマネギを販売します。農家の軒先の直売所なので、10kgの大袋やあまりスーパーに出回らない品種のタマネギも並びます。
6.5haのタマネギ畑を持つ「湯浅農園」では、9月4日から今年のタマネギの直売所がオープンします。
代表の湯浅富夫さんによると、「今年の7月は全くと言っていいほど雨がなく、どうなることかと思ったけど、根を切ってからの乾燥が早かった。この水不足や暑さでほかの農家さんが栽培している野菜が大変だったと聞くけれども、思ったよりも悪くなくてホッとしています」と。
その要因は、畑の地力。土に力がなく肥料に頼って栽培してきたら、雨不足で水がなければその肥料もタマネギには入っていきづらい。土に力があれば、露や空気中の湿気などの少ない水分と、微生物などの働きで立派なタマネギに育つのだとも説明してくれました。
私が取材に訪れた2日は、4日のオープンに向けて、家族で選果中でした。
「湯浅農園」では、「札幌黄」のほかに、真っ白くて生で食べても辛くない「雪景色」と、赤い「赤タマネギ」を栽培しています。「雪景色」は700g200円、赤タマネギは3500円。
札幌黄は、10kg 2L1500円、L1400円、M1200円、S1000円、F1は、10キロ 2L1000円、L900円、M700円です。
さー、楽しみにしていた皆様!
オープン日の早い、遅いはありますが、「湯浅農園」だけではなく、花畔札幌線と呼ばれる通り沿いには何軒ものタマネギ直売所がのぼりを上げています。ぜひ、お出かけして、美味しいタマネギを手に入れてください。
<湯浅農園>
*場所:札幌市東区丘珠町692‐3
*TEL&FAX:011-786-9776
*詳細は公式フェイスブックを参考にしてください。