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勢いを増すリブ・ゴルフ、2023年は年間14試合に増え、コントラクター(契約者)だけが参戦可能となる

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 ゴルフ界に喧騒が広がる中、リブ・ゴルフの第2戦が米オレゴン州のパンプキンリッジで6月30日から開幕した。

 ロンドンで開催された初戦にはフィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソンなどPGAツアー選手17名と欧州ツアーなどの他ツアーからもトッププレーヤーが出場したが、今週の第2戦には、メジャー4勝のブルックス・ケプカをはじめ、ブライソン・デシャンボーやパトリック・リードといったメジャー覇者などPGAツアー6名を含む9名の新規参戦者が加わった。

 これでリブ・ゴルフには、世界ランキングのトップ50から8名、トップ100から20名が参加したことになる。

 これらの数字が示す現状は、PGAツアーを中心として回ってきたゴルフ界の人々の想像を大きく上回る「リブ・ゴルフの大繁盛ぶり」と言えそうである。

 初日を終えて、リーダーボードの最上段には、第2戦から参加したばかりのカルロス・オーティスが5アンダーで付けている。1打差の2位にはジョンソン。そして2打差の3アンダー、3位タイにはマスターズ覇者のリードと並び、日本の谷原秀人が付けており、そのすぐ下の2アンダーにはケプカもいる。

 こうして眺めてみると、リーダーボードが賑やかであることは否定できない。数か月前までは実現性さえ疑問視されていたリブ・ゴルフが、賛否両論とはいえ、実際に船出し、ピッチを上げつつあることは、もはや否定することができない状況を迎えている。

【2023年は年間14試合】

 そんなふうに勢いを増しているリブ・ゴルフが、早くも2023年の予定を上方修正して発表した。

 初年度の今年は年間8試合の開催が確定しており、来年に関しては、当初は年間10試合と発表されていたのだが、6月30日(米国時間)には「2023年は年間14試合」と試合数が4つも増やされた形で発表され、世界中のゴルフ関係者をさらに驚かせている。

 来年の開幕時期は3月とされている。14試合の開催地は現状では未定だが、「ワールドワイドに広げ、ゴルフというゲームをグローバルに育てていきたい」と、リブ・ゴルフを率いるグレッグ・ノーマンCEOは気勢を上げている。

 1試合の出場枠は、今年同様、来年も48名と変わらず、3日間54ホールの個人戦を行ないながら、同時進行で4名ずつ12組によるチーム戦も行なわれる。

 今年の1試合の優勝賞金(初戦からの7大会)は2500万ドル(約33億7500万円)。個人戦の優勝者には400万ドル(約5億4000万円)が贈られ、年間の賞金総額は2億5500万ドルとされており、この賞金額は2023年も同額になる見込みだそうだ。

【来年からの出場資格】

 出場資格に関しては、今年と来年では大きな変化が見られることになる。

 今年は、1試合48名の枠が「早いものがちの椅子取りゲーム」のごとく埋められていくような形で初戦をキックオフし、今週の第2戦も「現在45名。残り枠はあと3つ」などと言われ、最後の最後に48名が揃って大会が開幕した。おそらく第7戦までは、この形式で進んでいくと思われる。

 言い換えると、初年度の今年は「リブ・ゴルフに興味を覚えた選手はウエルカム!」という意味で門戸を広く開放している。

 だが、2023年からは、リブ・ゴルフに年間を通じて全試合に参戦することを誓い、きっちり契約を交わした48名(注:補欠的にプラス数名は契約すると見られている)が、正式なリブ・ゴルフのコントラクター(契約者)となって、いわゆるシード選手的に参戦していくことになる。

 すでに、ミケルソンとジョンソンは、4年間の参戦契約にサインした「コントラクター」となっており、その際、ミケルソンは2億ドル(約270億円)、ジョンソンは1億2500万ドル(約169億円)を契約金として受け取ったと欧米メディアは報じている。

 そして、ミケルソンとジョンソン以外の選手は、契約期間も契約金の金額もさまざまになると思われるが、いずれにしても、契約書を交わすことが参戦の絶対条件となる。

 気になるのは、何を基準に「コントラクター(契約者)」が選び出され、契約が交わされることになるのか、である。今年の8試合における成績なのか、リブ・ゴルフに参戦する以前の成績や世界ランキングが考慮されるのか、人気の度合いなのか。そのあたりの詳細は、まだ明かされていない。

 だが、さまざまな面でリブ・ゴルフの勢いが増していることは紛れもない事実であり、そうした空気を感じ取った選手たちが、これから開催される残り6試合でどんな動きを見せるのか。

 そこに、世界中のゴルフ関係者の視線が集まっている。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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