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米国の銃への考え方は支持政党別で大きく異なる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 銃がごく当たり前のように見受けられる米国。その銃への姿勢は支持政党別でも…(写真:アフロ)

銃の所有が一般人にも許可されている米国。しかし全員が銃所有に賛成しているわけではない。支持政党別による銃に関する認識の違いを、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年6月に発表した調査報告書「America’s Complex Relationship With Guns」(※)から確認する。

次に示すのは米国において現状施行されている銃規制の強化追認や、規制の緩和の是非に関する同意率を、回答者の支持政党別に見た結果(銃の規制は州によっても大きく異なるため、回答者の居住地によって質問の解釈が変わる場合があるが、設問の規制や緩和の方向性に違いは無い)。

↑ 銃に関する規制における同意の認識率(同意者、支持政党別)(規制強化面)(2017年3~4月、米国)(18歳以上)
↑ 銃に関する規制における同意の認識率(同意者、支持政党別)(規制強化面)(2017年3~4月、米国)(18歳以上)
↑ 銃に関する規制における同意の認識率(同意者、支持政党別)(規制緩和面)(2017年3~4月、米国)(18歳以上)
↑ 銃に関する規制における同意の認識率(同意者、支持政党別)(規制緩和面)(2017年3~4月、米国)(18歳以上)

精神的に問題がある人には銃を購入できないようにする仕組みへの同意率は両派であまり変わりは無いが、それ以外は「銃規制強化追認は民主党支持者」「銃規制緩和は共和党支持者」の方が高い値を示している。銃所有・非所有者間ではほぼ同率だった「旅客機への搭乗が認められない人物のリストや監視リストに載っている人への銃の販売禁止」ですら、両派の間では小さからぬ差が出ている。銃そのものや銃によって生じた事件に対し、両政党間で反応が大きく異なるのも、これなら大いに理解はできる。

これは元々共和党が銃規制だけでなくさまざまな規制への政治介入を避け、経済を優先する立場(保守的考え)を持つのに対し、民主党では銃規制や環境保全問題への積極姿勢を見せており(いわゆるリベラル志向)、支持層もその考えに基づいて支持政党を決めているため。

また、元々民主党支持者は都市部に居住し、共和党支持者は地方近郊部に住んでいることが多いのも一因。属性の仕切り分けできれいに真っ二つに分かれるわけでは無いが、大よそそのような区分ができる。実際、銃の所有者は共和党支持者が圧倒的に比率の上で多く、都市部よりも近郊・地方の方が多い。

↑ 自分の世帯に銃保有者がいるか(2017年3~4月、米国)(18歳以上)(詳細属性別)
↑ 自分の世帯に銃保有者がいるか(2017年3~4月、米国)(18歳以上)(詳細属性別)

銃規制に関しては危ないから、事件が発生したから強化、必要だから緩和といった単純なものではなく、さまざまな思惑が絡んでいることを認識できる結果ではある。

■関連記事:

銃所有上のさまざまな規制、アメリカの人達の同意率を属性別で見てみると

銃所有の規制と権利主張、そのはざまでゆれるアメリカの心境

※America’s Complex Relationship With Guns

2017年3月13日から27日と、同年4月4日から18日にかけて行われたもので、RDD方式によって無作為抽出された電話番号(携帯・固定を問わず)の対象者(18歳以上限定)に専用のウェブへアクセスし回答してもらっている。対象者がインターネットへのアクセス環境を持っていない場合は、タブレット型端末と無線インターネット接続環境が貸与される。対象者数は合計で3930人。国勢調査の結果に基づき、年齢や性別、学歴、居住地域、人種などでウェイトバックが実施されている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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