BMWから普通二輪免許で乗れる「G 310 GS」登場!後方排気の本格スモールADVの魅力とは
BMWからニューモデル「G 310 GS」が11月1日より発売される。G 310 GSは、今春から国内でも発売されているG 310 Rをベースに開発されたスモールアドベンチャーモデルである。
その名のとおり、R 1200 GSをモチーフとしたデザインが特徴で、ビーク(くちばし)状のアッパーフェンダーとラジエターカバーやフューエルタンクのデザイン、リヤキャリアなどの実用的装備にもそのDNAを認めることができる。
▲G 310 GS
▲G 310 R
▲R 1200 GS
前後逆向きにエンジンを搭載
エンジンは水冷4スト単気筒DOHC4バルブで排気量313ccから最高出力34馬力を発揮。これはG 310 Rと同スペックとなっている。
特徴的なのはエンジンの搭載レイアウトでG 310 R同様、シリンダーヘッドの向きを前後方向に180度回転させることでインテークが前側、エキゾーストが後側にくるように配置。つまり、通常のバイクとは前後逆向きにエンジンを搭載していることになる。
BMWらしい合理的アプローチ
この独特なレイアウトのおかげで効率的なストレート吸気が可能となっただけでなく、マス集中化と低重心化、前後分布荷重の適正化なども図られているという。いわゆる「後方排気」は、かつてヤマハのTZRシリーズや現行モトクロッサーのYZ450F/250Fなどにも用いられてはいるが、現行モデルでは極めて珍しい手法と言える。
その他のメリットとしては、エキパイの取り回しが前方にこないため、ラジエターを奥に引っ込めて前輪とのクリアランスを確保することで、フロントフォークのストローク量を稼ぎやすい。
また、シリンダーが後傾しているためエンジン前後長を詰めることができ、その分スイングアームを長くすることもできる。これにより、乗り心地や路面追従性の向上が見込めるだけでなく、結果的にオフロードでの走破性を高めることにもつながっていると思われる。
というように、見れば見るほど、最初から今回のGSをリリースすることを想定していたとしか思えない車体設計になっている。まさにBMWらしい合理的なアプローチと言えるだろう。
専用設計の足まわりに滲む本気度
ベースとなったG 310 Rとスペックを比較してみると、いろいろと違いも見えてくる。
まずサスペンション。前後にφ41mm倒立フォークとリンクレスタイプのモノショックという組み合わせは同じだが、ストローク量がG 310 Rのフロント140mm/リヤ131mmに対して、G 310 GSは前後とも180mmと大幅に増えている。
フロントホイール径も前後17インチのG 310 Rに対してG 310 GSはフロント19インチの大径ホイールを装着するなどオフロード色を強く打ち出した設定だ。
キャスター角もG 310 GSのほうが寝ていて、ホイールベースも40mm長い1,420mmに設定。また、シート高についてもG 310 Rの785mmに対してG 310 GSは825mmと、より高めの設定になっている。
車重もG 310 Rの159kgに対してG 310 GSは170kgとなり、全体的にひと回り大柄な車体に仕上げられている。ライディングポジションに関しては、人間工学に基づいてライダーが疲れにくい設定になっているということで、ステップ位置などもG 310 Rに比べてやや前方低めにセットされているようだ。
以上、車体ディメンションも専用になっていることからも、ロードモデルの外装だけ変えて体裁を整えた、”なんちゃってモデル”とは異なる本気度がうかがえる。
オフロード走行を前提としたABS
機能面では、オフ設定も可能な2チャンネルABSを装備することで、安全性を高めつつオフロード走行にも対応。また、リヤサス用の油圧調整式プリロードアジャスターおよびETC2.0を標準装備するなど、タンデム走行やツーリングでの利便性にも配慮した設定となっている。
スモールADVの黒船になるか!?
価格的にも税込66万9,900円と値ごろ感もあるし、何といっても、普通自動二輪免許で乗れるBMWとして日本でも注目されることは間違いないだろう。
今年に入り、CRF250RallyやV-Strom250、VERSYS-X 250などの250ccクラスの国産アドベンチャーモデルが次々にデビューしているが、そこに割って入る形で圧倒的ブランドバリューと本格的な装備、ひと回り大きな排気量による余裕の走りを実現するG 310 GSが、太平の眠りを覚ます黒船になる可能性は十分にありそうだ。