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約7割の5145万人が両親とともに生活…アメリカ合衆国の子供達の親との同居状況(2023年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
両親揃っての生活、アメリカ合衆国では(写真:イメージマート)

子供の成長過程では親子はともに日々を過ごすのがよいとの話だが、不幸な事故や親同士の仲違い、その他さまざまな事情で親子が同じ居住空間で生活できない場合もある。アメリカ合衆国における子供の親子の同居実情を、同国の国勢調査局(Census Bureau)の公開値を基に確認する。

次に示すのは1960年以降(1961~1967年はデータ無し)における、アメリカ合衆国の18歳未満の子供の数に関して、両親とともに暮らしているか、片方の親のみか、両親ともにいないかの状態別に示した動向をグラフにまとめたもの。あくまでも生活を営む上での居住空間上の話で、法律上の夫婦関係は維持されているものの、妻と夫が別居状態にあり、例えば妻側に子供がいた場合は「片方の親のみ」と判断される。何らかの事情で祖父母に子供が預けられている場合も「両親無し」となる。

↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(万人)
↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(万人)

↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(万人)(2001年以降)
↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(万人)(2001年以降)

直近の2022年では7329万人の子供のうち約7割の5145万人が両親とともに生活。1922万人が片方の親のみ、262万人が両親ともにいない環境での生活を過ごしている。子供の全体数は1980年代半ばに底を打った後漸増、ここ数年は再び漸減の動きに転じているが、おおよそ両親がいる子供の数に変化はなく、片方の親のみの子供が増加している。これは非嫡出子の増加が一因と思われる。さらにこの数年では、2012年まで減少していた「両親ともにいない子供」が再び増加に転じる気配を見せているのも目にとまる(直近年では前年比で減少したが)。

そこで非嫡出子が大いに関係しているであろう、片方の親のみとともにいる子供に関して、その内情を確認していく。まずは父親のみの場合。

↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(父親のみがいる子供、父親の状態別、万人)
↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(父親のみがいる子供、父親の状態別、万人)

2006年から2007年にかけて大きな変化が生じているが、これは金融危機ぼっ発によるものではなく、計測方法を変更したため。後述する母親のみのケースでもいくぶんの変化が生じているが、父親のみではこのように大きな形で差異が生じてしまっている。景況感の大幅な悪化で社会環境に変化が生じたのは事実だが、この変動はその影響によるものに限った結果ではない。

人数動向だが、1990年前半までは子供の全体数の増加とともにそれぞれの区分内の人数は増加していたが、離婚によって父親が引き取る事案は1990年後半以降ほぼ横ばい、結婚状態は維持しているものの別居しているなどの理由で父親のみとともに過ごしている子供もあまり変化はなく、未婚状態の父親と子供の組み合せが増加し、全体数を引き上げているのが分かる。2007年から計測方法が変わったため一度大きく減ったものの、その後は再び未婚の父親と子供の組み合せはおおよそ増加を継続している。

続いて母親のみの場合。

↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(母親のみがいる子供、母親の状態別、万人)
↑ アメリカ合衆国の18歳未満の子供における家族構成別人数(母親のみがいる子供、母親の状態別、万人)

こちらも2007年における計測方法の変更による数字の乱れが生じているが、父親のみのケースほどではない。そして母親のみの場合は「既婚だが別居・不在」の数はこの半世紀ほどの間はあまり変化が無く、「離婚」事例は1990年ぐらいまで増加して後は横ばい、「死別」はむしろ漸減、そして「未婚」、つまり非嫡出子との同居・世帯構築のケースが大きく増加しているのが分かる。ただしこの数年に限ると、死別以外のケースが減り、母親のみの場合全体の値も漸減している動きが確認できる。

直近2022年では810万人が未婚の母親とによるもので、離婚は456万人、既婚だが別居は258万人にとどまっている。アメリカ合衆国の人口問題を語る際に欠かせない非嫡出子は、その多くが母親と子供との間で世帯が構成されていることが分かる。

概算となるが、1960年当時における18歳未満の子供においては、約88%が両親とともに生活していた。しかし2022年ではこの値が約70%にまで低下している。結婚観の変化、非嫡出子の容認傾向などが主要因だが、およそ20%ポイントの低下は小さからぬ子供の教育への変化も生じさせていることは、容易に想像できる。

状況はケースバイケースなので一様にどの選択肢がよく、どれが悪いと断じることは不可能だが、状況の変化の中で見えてくるものもあるのかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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