北川景子の「特撮出身」というプライド
1月11日、ついに北川景子とDAIGOの結婚が発表された。
近年は結婚報告をFAXやSNSで済ます芸能人が多い中、二人揃って記者会見を開いた上、そのやりとりのひとつひとつが微笑ましく、好感度が急上昇している。
もともと北川景子は、お茶目で飾りっけのない言動で好感度が高かった。
宝塚歌劇団の大ファンを公言し、オフィシャルサイトの日記でもその宝塚愛をびっくりするくらいの長文で綴ったことも度々。ファンとの交流を持ちたいとの思いから、女優には珍しく2013年から毎年、ファンミューティングも開催している。
北川景子は2003年、17歳のときに「ミスSEVENTEEN」に選ばれ、モデルデビュー。同じ年の10月、実写版『美少女戦士セーラームーン』(CBC)の火野レイ(セーラーマーズ)役で女優デビューを果たした。いわゆる特撮ドラマ出身だ。俳優の中には、「特撮出身」であることを隠し、いわゆる“黒歴史”にしてしまう人もいるが、北川景子は全く違う。いまだにこの時一緒に“戦った”5戦士のメンバーとは交流を続け(今年1月1日の日記でも5人で行った誕生日会が報告している)たり、「幸い私は特撮出身なのでアクションに対する恐怖心はないし、基礎的なことも特撮時代に培ったので、その経験を生かせることがうれしい」(フジテレビ『探偵の探偵』出演時)とか、「(昔)特撮ドラマで触手に巻かれたりしていたので、そのときの経験を生かして」、「生傷やあざが絶えなくて大変ですが、戦隊出身の意地で頑張ってます」(日本テレビ『悪夢ちゃん』出演時)などと積極的かつ誇らしげに特撮出身であることを語っている。このあたりも好感度が高い理由だろう。
■17歳の北川景子
そんな北川景子が『セーラームーン』出演時、どのようにドラマに臨んでいたか、当時のインタビューを振り返ってみたい。
まずデビューしたいきさつをこのように語っている。
「いろいろな事務所の方に声をかけて頂いた」とサラリと言って、それに嫌味がないというのが、北川景子たる所以だろう。
そして『セーラームーン』のオーディションでのエピソードは、彼女自身がトーク番組でもたびたび語っているように印象的なものだ。
なにか特技を披露しなければいけなかったが、見せられるような特技がなかった北川は苦し紛れにイモに文字を彫る「イモ版」を思いつく。
北川がそこで凄かったのは、作業中、怒涛のようにノンストップでしゃべり続けていたことだ。
もともと『セーラームーン』の中でセーラーマーズが好きだったという北川。火野レイのキャラクターも自身と重なる点が多くぴったりだった。
別のインタビューでも「別に男の人が嫌いというわけではないですが、あまり興味がなくて。ぼーっとしていたら好きな人もいないまま、17歳になってしまった(笑)」(『特撮ニュータイプ』2004年3月号)と語る北川景子。当時の『セーラームーン』公式サイトに掲載された日記も女子高生のキャピキャピした感じはなく、しっかりとした丁寧な文章が綴られていた。
当時から三浦綾子や司馬遼太郎が好きと語っており読書家の一面を伺わせている。それは現在のしっかりとした公式サイトの日記の文章にもつながっているのだろう。
演技へのこだわりも当時から強かった。
『セーラームーン』で印象的なシーンがある。第9話で主人公の月野うさぎ(沢井美優)が家出をするエピソードだ。そこで北川景子演じるレイは帰ってきたうさぎを叱らず、受け入れる。原作やアニメとも違う実写版火野レイのキャラクターがあらわれたシーンだった。
『セーラームーン』は、たとえば「スーパー戦隊シリーズ」や「仮面ライダーシリーズ」などと違って、“変身”しても素顔のままだ。だから、必然的にアクションを一部を除いて自ら演じなければならない。生傷も絶えなかった。
何と誰にも助けを求めずに自分で肩をはめて本番に挑んだのだ。この話は取材に同席したプロデューサーも知らなかったという。「だって自分のせいでスケジュールが押したら皆さんに迷惑かけちゃうじゃないですか」と当たり前のように言うのだ。
こうした過酷な撮影を若干17歳のときに乗り切ったからこそ、北川景子はいまも「特撮出身」というプライドを持ち続けているのだろう。