20歳の人が考える「カーライフするのなら出せるのはこの金額まで」の実情をさぐる
自動車を所有し利用するにはさまざまな費用が必要になる。購入時の自動車本体代、保険料、駐車場代、各種整備費用、ガソリン代、そして車検代。車が生活の上で必要不可欠な人も少なくないが、それゆえにコストの存在に頭を痛めている人も多い。このコストについて若年層ならば、どこまで許容できると考えているのだろうか。ソニー損害保険が2023年1月に発表した調査報告書「2023年 20歳のカーライフ意識調査」(※)から実情を確認する。
行動範囲を広げ、生活に機動力を与えてくれる自動車だが、その対価としてさまざまな経費が求められる。定期的に発生する費用に関して、いくらぐらいまでなら我慢できると若年層は思っているのだろうか。見方を変えれば「この額を超えるとカーライフはあきらめざるを得ない」と読むこともできる。
最大区分は5001~10000円で31.1%、次いで1~5000円の22.1%、さらに10001~20000円が続く。1円も出せない、つまり実質的にカーライフは過ごしたくない、過ごさなくてもよいとする人も5.8%いる。必要性を感じない生活環境にあるか、あるいは同居世帯、例えば親世帯にすべて任せるとの考えなのかもしれない。
中には5万円超過でも大丈夫の人も少数ながら確認できるが、全体平均は1万7162円となっている。よくある例え話で持ち上がるたばこ価格で換算すると、おおよそ30箱分である(メビウス、580円で計算)。大体1日1箱分。
この平均額について免許証や車そのものの所有状況別で経年推移を確認したのが次のグラフ。2018年以降は各属性別の値が非公開なので空欄となっている。
対価として支払える上限を聞いていることから、この値が高い方が「車がある生活」に高い価値を見出していることになる。属性別の値が公開されている直近分となる2017年分を見ると、車を保有している人は当然高く、持っていない人はそれより低いものの、免許証を持っている・取得予定の人はそれなりに高い値が出ている。他方、免許を持たず取る予定もないと考えている人は、一段と低い値にとどまっている。当然の結果ではある。
経年変化で見ると多少のぶれはあるものの、車は持っていないが免許を持っている・持つ予定がある人はおおよそ横ばいだが、車保有者は値が減少する傾向にある。お財布事情が厳しくなり、車利用に割り当てる対価も減らした上で勘案しなければならなくなったと読み解くことができよう。
果たして自動車関連企業は現在の若年層に対し、毎月1万7162円の出費に値する価値を提供し得る自動車や各種サービスを提案できているだろうか。自動車そのものだけでなく、利用者が日々生活する周辺環境全体を見つめ直し、考える必要があるに違いない。
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※2023年 20歳のカーライフ意識調査
2022年11月17日から11月19日にかけて、2002年4月2日~2003年4月1日生まれの男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。なお今件調査における「都市部」とは、市・区における人口ランキングの上位都市(1位から8位)である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市。それ以外はすべて「地方」。
今調査は前年まで「新成人のカーライフ意識調査」として実施してきたが、2022年4月の成年年齢引き下げに伴い、「20歳のカーライフ意識調査」と名前を変えて実施されている。調査内容・対象はほぼ同一で、データの連続性もほぼ維持されているとみなしてよい。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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