言葉の裏に結束あり。ワールドカップ王者はニュージーランド代表【ラグビー旬な一問一答】
4年に1度おこなわれるラグビーワールドカップのイングランド大会は、10月31日、ロンドン・トゥイッケナムスタジアムで決勝戦があり、ニュージーランド代表がオーストラリア代表を34-17で撃破。2大会連続3度目の優勝を決めた。
以下、優勝したニュージーランド代表(オールブラックス)の選手の談話(rugbyworldcup.comのメディア専用ページの談話を和訳)。
スティーヴ・ハンセンヘッドコーチ
――ワールドカップ史上初の大会連覇だが。
「選手を誇りに思います。彼らはいい1週間を過ごした。着実な積み重ねで仕事をやり遂げた。最高の気分です。言うまでもないが、勝負事では勝者もいれば敗者もいる。チームを代表して言わせてもらうが、オーストラリアは相手として素晴らしい。(後半1分にセンターのマア・ノヌのトライで)21-3とした時点で、白旗を上げるチームもいるだろう。しかし彼らは4点差まで詰め寄った。本当に頭が下がる。そういった相手からこの結果を得た。誇れるものだ。このチームは誰か一人で成り立ってはいない。全員の意思疎通があり、最終的にそれが他チームとの違いだったと思う。これ以上はない有終の美だ」
――代表引退がささやかれるフランカーのリッチー・マコウキャプテンについて。
「オールブラックス史上最高の選手だ。スタンドオフのダン・カーターもほとんど差がない。フランカーとして148キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)はありえないことだ」
フランカー リッチー・マコウキャプテン
「4年前に優勝した時、私たちは言い合っていました。同じ道を歩んで、ここトゥイッケナムでの決勝戦で、誰もしたことのないことをしようと。それをやり遂げた仲間を誇りに思います。後半に勢いを失ったが、落ち着きを保って、このチームの4年間(が正しかったこと)を証明するような強さを示した」
――後半24分、21―17と4点差に迫られたが。
「心配していなかった。押されていることは十分に理解していたし、そうしたシチュエーションはいままでも経験してきている。焦らない。ボールを奪い返し、試合をコントロールするためにシンプルなことを積み重ねる…と。私たちはそれをやり切った」
――引退がささやかれているが。
「正直、まだ辞めたくない。いまはまだ、このチームの一員です。きょうは楽しむ。こんなところで、いいですか?」
スタンドオフ ダン・カーター
――僅差で迎えた後半29分、決定的なドロップゴールを成功させた。ここでスコアは24ー17。
「ボールに『行ってくれ』と叫んでいた。入るかどうか、確信できなかった」
――前回大会優勝時は、怪我で戦列を離れていた。
「チームメイトがプレーするのを傍で観た4年前のことがあって、いま、ここにいられて嬉しい。ハードワークをしてきた。チームとチームのここまでの歩みを誇りに思う」
――大会史上最多の3度目の優勝。
「本当に強い男たちだ。誰もしたことのないことをしようと言ってきた。こんな最高のチームの一員になれて誇りに思う」
センター マア・ノヌ
――後半1分にトライを決め、スコアを21―3とします。ソニー・ビル=ウィリアムズ選手のオフロードパスを受けて約50メートルを直進。
「ソニーがいいパスをくれた。私は守備のギャップを観て、ボールを掴んで、走るだけだった」
――その後、オーストラリア代表の反撃も受けますが。
「彼らは決して倒れない。オーストラリア代表というチームとして何でもでき、立ち向かうことが好きだ」
――オールブラックスの精神とは。
「支え合っているだけ。ゲームにいい状態で入って、互いをサポートできた」
――自身の代表引退については。
「それは今週考えることではなかった。まずは自分たちの試合について考え、そういうことについては後から心配する。終わってから実感すると思うよ。ダン(ダニエル・カーターの愛称)と一緒に戦うこと、フィールドでの彼のサポートが恋しくなると思う」
センター ソニー・ビル=ウィリアムズ
――自分のメダルを、グラウンドへ降りてきた少年ファンにあげていたが。
「若い男子がこちらへ全速力で駆けてきて、警備員に捕まっていた。追いつかれてしまって、本当に寂しそうだった。私の誇りは勝利にあるのであって、メダルにあるのではない。一方で、メダルをあげたことを、あの少年は覚えていてくれると思う。…後で聞いたら、あのメダル、純金だったんだって!」
――偉業を達成したが。
「誰もしたことのないことを成し遂げたチームの一員になれて嬉しい。過去の王者にも畏敬の念を抱いてますが、今度の北半球でのワールドカップチャンピオンというのは本当に特別」
――ハンセンヘッドコーチについて。
「常に全員と対話している。おかしな人で、かつ真面目な人で、皆から尊敬されている。私にとっても、この人のために戦いたいと思えるコーチです。他の皆もそう思っているに違いない。この人のため、このコーチのため…。その気持ちはパフォーマンスを高めます」
ウイング ネヘ・ミルナースカッダー
「信じられない。きょうみたいなゲームで締めくくることができたのは、実に素晴らしい。
この環境を嬉しく思う。この環境のすべてを愛している。(今年ブレイクした選手にノミネートされたことについては)そのように認められたことはボーナス。誇りです」
――前半38分、マコウキャプテンからパスをもらってトライを決めた。
「私は、彼がボールを抱えたまま走ると思っていた。そのトライチャンスを私に与えてくれるなんて、やはり彼は船長です」