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若いスターに負けたくない?体を壊したマドンナ(64)に「激しいダンスなんてしなくていい」の声

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
今年のグラミー賞授賞式でプレゼンターを務めたマドンナ(写真:REX/アフロ)

 最悪の事態は免れた。

 先月、マドンナが世界ツアーのリハーサル中に意識を失っているところを発見され、集中治療室に運ばれた時、家族は医師から「最悪の事態にも備えるように」と言われたという。長女ローデスはパリから、長男ロッコはロンドンからすぐさま飛んで来て、下の4人のきょうだいと共に母のそばでひたすら回復を願った。祈りの声は届き、マドンナは無事退院。現在はニューヨークの自宅で療養している。

 マドンナのマネージャーによると、彼女は重篤な細菌感染に侵されたとのこと。「TMZ」は、1ヶ月前から微熱があったにもかかわらず、リハーサルに影響を与えたくないため、無視していたと伝えている。完璧主義の彼女は、1日12時間の過酷なリハーサルを週6日こなしていた。そうやって無理を重ねるうちに状態が悪化していったようだ。

 事情をよく知る関係者は、「The Sun」に対し、マドンナはテイラー・スウィフトのような若いミュージシャンに負けたくなくて、体の限界まで自分を追い詰めたのだと語っている。失礼にならないよう気を遣いながら、周囲の人たちが「もう25歳でも、いや、45歳でもないのだから」とマドンナに注意しても、聞く耳を持たなかった。別の関係者は、「年齢のことをたびたび言われるせいで、負けたくないというプレッシャーがより強まった」と述べる。そうしてついに燃え尽きてしまったようだ。

マドンナが「負けたくない」と意識しているというテイラー・スウィフトは、現在33歳
マドンナが「負けたくない」と意識しているというテイラー・スウィフトは、現在33歳写真:REX/アフロ

 マドンナは、今年のグラミー賞授賞式で舞台に上がった時、明らかに整形したと思われる顔が話題になってしまい、不快な思いをしたばかり。「誰の顔だったとしても望遠レンズで撮影されれば歪んで見える」「私は蔓延する女性差別、年齢差別にさらされた」とソーシャルメディアを通じて彼女が世間を責めると、「そう言うあなたこそ女性に対する不当な年齢差別に迎合しているではないか」と、またもや批判されてしまった。そんな彼女は、来るツアーでも年齢を否定するようなパフォーマンスをやってみせると意気込んでいるのだろう。退院した後、ツアーの規模を少し小さくしたらと言われても、拒否したそうだ。「The Sun」に話をしたマドンナの友人は、「彼女が100歳になっても仕事をしていて、すごいパフォーマンスをやっていることを願う」と語っている。

「歌ってくれればそれでいい」という声も

 しかし、世の人たちがみんなそう思っているわけではない。ソーシャルメディアには「彼女は今も素敵」「まだ一生懸命仕事をしたいと思う彼女はすばらしい。お金はたっぷりあるんだから、のんびりできるのに。感心する」という褒め言葉もあれば、「ナルシシストを見るのは悲しいね」、「(細菌感染は)整形手術のせいか」などという厳しいコメントもある。「金も名声もあると永遠に満足しないようだ」、「ふたりの子供を育ててフルタイムで働いている一般人こそ燃え尽きそうだけど」、「将来、テイラー・スウィフトもそうなるのかな」などという皮肉な言葉も見られる。

 だが、最も目につくのは、「(若い人と)競争する必要はない。彼女がいなければその人たちだって出てこなかったのだから」「激しいダンスなんてしなくても、歌ってくれればそれでいい」「やり過ぎなくていいよ。手を抜いたところで誰も気にしないんだから」というような、諭すコメントだ。

 マドンナの誕生日は8月。この入院で延期されたツアーの新たな開始日がいつになるのかはわからないが、その頃までに65歳になっているのは確か。伝説のポップスターが歳を取っても元気に活躍してくれるのは、ファンにとって嬉しいことだ。人々の声にもあるように、空中に吊るされるような派手なパフォーマンスをやらなくても、みんなに愛される歌を昔のクオリティのまま歌ってくれるだけで、ファンは満足してくれるのではないか。だが、本人がそれに満足しないのだろう。また起きてお子さんたちを心配させないためにも、回復後は体と相談しながらツアーに挑んで欲しいものだ。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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