夏本番?それともリハーサル? 東北南部の梅雨は本当に明けたのか
きょう6月29日(水)、気象庁から東北南部の梅雨明けの発表がありました。異例とさえ言える早さです。平年より25日も早く、6月に東北で梅雨明けが発表されるのは史上初です。また梅雨入りの発表は今月15日(水)でしたので、梅雨はわずか14日間しかなかったということになります。
ただ、そもそも梅雨というのは季節の一つに過ぎず、それに線を引いて発表すること自体が極めて困難なものです。来週には早くも「梅雨明けしたはずでは…?」と感じるような天気になるかもしれません。
急速に強まり 急速に弱まる太平洋高気圧
平年であれば、6月下旬は奄美地方などでようやく梅雨明けが発表される頃で、太平洋高気圧はまだ日本の南に控えている時季です。
ところがきょうは梅雨前線の雲が北海道付近にまで北上しています。それだけ太平洋高気圧が日本付近に張り出し、なおかつ力が強いことを表しています。この太平洋高気圧の強まりを受けて気象庁も梅雨明けを発表したのでしょう。
太平洋高気圧は、今週いっぱいはこのまま6月らしからぬ勢力で日本列島を覆う見込みですが、7月に入ると急速に弱まって本州の南に退く予想となっています。
リハーサル型の梅雨の中休みでは?
太平洋高気圧が退くことによって、本州付近には湿った空気が流れ込みやすくなります。ウェザーマップが発表している16日予報では、仙台では7月4日頃からは連日曇りや雨が予想されています。(気象庁は自身の発表する週間予報をもとに梅雨入り・明けを発表するのでこの16日予報は参照していないと思いますが)
また23日(木)に発表された1か月予報においても、東北地方の降水量は「ほぼ平年並み」の予想で、気象庁自身も「平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう」と発表しています。
これらの「今後、太平洋高気圧が弱まる」「7月の降水量はほぼ平年並み」という予想を鑑みると、梅雨明けではなく梅雨の中休みでしかないのではないかと私は思います。
そもそも梅雨の真っただ中であっても、一時的に太平洋高気圧が強まることは間々あります。故・倉嶋厚氏はその著書の中で「梅雨の中休みには、五月晴れが戻ってくる『アンコール型』と、夏本番と同じような形になる『リハーサル型』の2つがある」と紹介しています。
今のこの状況は「本番以上にうまく演奏できているリハーサル」なだけかもしれません。
ただ気象庁が異例の早さで梅雨明けを発表してしまうくらい太平洋高気圧が強いことは確かで、それに伴い6月らしからぬ暑さになっています。
今週いっぱいは真夏と何ら変わらない晴天と暑さが続きますので、熱中症には十分ご注意ください。
【参考資料】
『季節の366日話題事典』倉嶋厚