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「アメリカの最低賃金は1950円」は誤り。共産党の志位委員長がツイートで拡散(追記あり)

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
問題の投稿。Twitterより

 日本共産党の志位和夫委員長が世界各国の最低賃金だとして「アメリカの最低賃金は1950円」とTwitterに6月8日に投稿し、5,000件以上拡散していますがこれは誤りです。

アメリカの最低賃金は時給7.25ドル(約970円)

 アメリカの最低賃金は、アメリカ合衆国労働省のページによると時給7.25ドルと定められています。

 この金額は日本円にすると約970円(記事執筆時点のレート)であり、志位委員長の「アメリカの最低賃金は1950円」とは約2倍の差があります。

バイデン大統領の最低賃金15ドル引き上げ公約を勘違い?

 それでは、この「1950円」という数字はどこからきたのでしょうか?

 ここからは想像になりますが、アメリカのバイデン大統領は最低賃金を15ドルへ引き上げることを公約としており、これを“実際の最低賃金”だと勘違いしたものと思われます。

 もしくは、アメリカのなかで最低時給を15ドルと定めている州や市の時給を見て、アメリカ全体の時給と勘違いしたのかもしれません。

 いずれにせよアメリカの最低賃金は労働省のページにあるとおり時給7.25ドルであり、15ドルへの引き上げ運動が行われているものの、現時点ではこの情報は誤りです。

世界各国の時給は?

 アメリカの時給を調べるついでに、志位委員長が例として挙げている各国の最低賃金も調べてみました。

 それぞれ次のとおりです。

  • イギリス:9.5ポンド(約1,600円)
  • ドイツ:12ユーロ(約1,700円)
  • フランス:10.85ユーロ(約1,550円)

 志位委員長がツイートしたものとイギリスとフランスの時給にズレがありますが、おそらくイギリスは2021年4月時点の8.91ポンド、フランスは2021年1月時点の10.25ユーロで計算されているものと思われます。

 数字が異なるからと言って“時給を引き上げなくて良い”わけではありません。各国も時給の引き上げを行っていますし、我が国でも引き上げは行われるべきでしょう。しかし、その最後が「アメリカ・970円」では説得力がなくなってしまいます。

 また、誤った情報の拡散になるため他国の時給もふくめて情報のアップデートを期待したいものです。

6月11日16時39分修正

 志位委員長のツイートと同日に『しんぶん赤旗』で同様の趣旨の記事が報じられていたため、記事内のリンクを過去の記事からそちらに変更しました。

 また、それにともない文章を修正しました。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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