日本と大きな違いは無い、アメリカ合衆国の初婚年齢(2023年公開版)
アメリカ合衆国の大人の人口と平均初婚年齢の推移
日本の平均初婚年齢は上昇傾向にあり、この原因としては男女平等化の価値観の浸透、経済的な問題、結婚そのものに対する重要性の認識の変化などが挙げられる。日本と深いつながりのあるアメリカ合衆国ではどのような状況なのだろうか。同国の国勢調査局による公開データから、平均初婚年齢の推移を確認する。
まずはアメリカ合衆国では成人扱いされる15歳以上の人口推移。
1950年、太平洋戦争終結から5年の時点では男性の大人が5460万人、女性が5710万人。それが半世紀強経過した2022年時点で男性は1億3132万人、女性は1億3726万人にまで増加している。単に出産などによる増加だけでなく移民も含めてだが、半世紀で2倍以上に増加した計算となる。
一方、今回記事の主題となる平均初婚年齢だが、こちらは2世紀前の1890年から(一部飛び飛びだが)記録が残っている。もっとも古い1890年時点では男性26.1歳、女性は22.0歳が初婚年齢だった。
太平洋戦争後まで平均初婚年齢は低下を続け、男性は1959年に22.5歳、女性は1956年に20.1歳をつける。その後少しずつ上昇傾向に移るが、1970年以降は上昇カーブが急こう配となる。この時期には経済的な成長に加え、いわゆる女性解放運動が起きており、これも初婚年齢の上昇に寄与したと考えるのが妥当だろう。その後前世紀末から今世紀初頭にかけて一時上昇は止まるかに見えたが、再び上昇。直近の2022年では男性30.1歳、女性28.2歳となっている。
日本は2021年時点で男性31.0歳、女性で29.5歳(人口動態統計(確定数)より)。日本の平均初婚年齢の高さに驚く人は多いが、実のところアメリカ合衆国でも1歳前後しか差が無いことになる。
未婚者数や未婚者率はどうだろうか
よい機会でもあるので、未既婚関連の値をいくつか算出しておく。まずは15歳以上のうち既婚者・未婚者数の推移。
未婚者はまだ一度も結婚していない人の他に、配偶者と死に別れた人・離婚した人のうち再婚していない人も該当する。平均寿命が延びて配偶者に先立たれる人や、男女の価値観の複雑化や社会情勢の変化から離婚事案が数・比率ともに増加すれば、晩婚化とも併せて未婚者数の増加割合が底上げされるのは必然的な話ではあるが、1990年代以降、特に女性において未婚者数が大きな増加を示しているのが分かる。女性は2021年で初めて、未婚者数が既婚者数を超えてしまい、それが直近の2022年でも続いている。結婚経験者による再婚事例もゼロではないが、それ以上に既婚者が未婚状態になるケースが増えているのだろう。
当然、15歳以上人口における未婚者率も増加する。
1950年時点では1/3強だった未婚者率は直近2022年ではほぼ半数。15歳からお年寄りまですべてを合わせてではあるが、男女ともおおよそ二人に一人は未婚者との計算になる。
社会観の変化など要因は複数あるが、離婚事例も増えている。離婚した上で再婚せずに独身の人の割合は、1950年時点では2%台だったが、直近2022年では男性で8.4%、女性では10.7%にまで増加している。
今件には配偶者との死別は含まれていないので、平均寿命の伸張は直接的には影響しないことに注意(お互い顔を見合わせる期間が長くなれば、それだけ仲違いするリスクも増えるのは事実だが)。今世紀に入ってからいくぶん上昇は緩やかな動きに転じ、ここ数年ではむしろ減少の気配すら見せているが、それでも上昇基調だったことは否定できない。
平均初婚年齢が底上げされれば、それだけ出産機会が減少しうる。当然、出生率は下がることになる。この関係は日本とも変わらない。日本と比べれば婚外子出生率は極めて高いため、連動性は日本ほどは高くはないが、今後も注視すべき値であることに違いはあるまい。
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