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<ガンバU-23>0−2からの逆転勝利でJ3リーグ開幕白星を飾る。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ホームで迎えたJ3リーグ開幕戦。トップチームが苦しい戦いを続けている中で、ガンバU-23も立ち上がりの入りこそ悪かったが、前半徐々に持ち直して後半へ。その後半は前への推進力を高めながら、MF食野亮太郎のゴールで反撃の狼煙をあげると、79分にはFW一美和成が、89分にはカウンターから再び MF食野が『決勝ゴール』を決め、3-2と逆転勝ち。開幕白星を掴み取った。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖U-23監督

シーズン開幕戦というところで、昨年とは違うシーズンにしようと選手と話をして試合に入りました。その中で立ちあがりの4分くらい左サイドのところで押し込まれるシーンが続いて、そのあと失点ということで、やろうとしていることを出せない立ち上がりになってしまったのは悔いが残るところです。また0−2にもされてしまったので、このあとどうなるかなと思って少し様子を見ていました。ただ、選手は…去年のチームならもっと浮き足立ってしまって3点目決められるかもしれないということもあったかもしれませんが、今年は少しそれでも前にいくというところを少しずつ出していっていたので、1点取れてもおかしくない前半だったと思います。ハーフタイムにもう一度何をすべきか整理をして、選手を送り込みました。選手は本当に、やるべきことをしっかりとやって、質の部分でも前半より上回ってくれましたし、その質をあげようということはハーフタイムでも言ったところですが、しっかりゴールに迫る勢いを出せた結果が3得点につながったと思っています。勝てたことは非常にいいことだと思いますが、試合を通して、もっと相手より上回るところを出すということについては、選手には今日の試合を教訓にして成長してもらいたいと思っています。

ー2つ質問があります。1つ目はハーフタイムで選手に求めた「質」について具体的な中身について教えていただきたいのと、2つ目は、去年はサイドで起用することの多かった高江麗央選手を今季はボランチで起用されています。練習もそこで使っていらっしゃいましたが、彼をボランチで起用する狙いを教えてください。

(1つ目の質問については)前半も相手のペナルティエリア近くまでいって、クロスまでいけていたシーンもあったので、質とそこへの入り方、プラス、セカンドボールを誰が拾うのかということを突き詰めてやるということは言いました。(2つ目の質問については)麗央に関しては、去年はサイドバックでもいいプレーをみせてくれましたが、中盤のボランチで一次キャンプで起用した時にフィットする感じ、キックの良さや運動量が見られたので、そこで使ってみて様子を見ていました。その中で、セカンドボールへの反応の速さだったり、相手からボールを奪い取るようなところでも、良さがみられたと。ある意味、麗央にとっては、ボランチは思ってもみなかったところだとは思いますが、チャレンジだと思って今日は使って見ました。いいプレーをしてくれたと思います。

ー前半はバイタルを効果的に使えていなかった中で後半は福田湧矢選手を入れたあたり、かなり修正されたのかなと思います。そのあたり、福田選手を使われた狙いと、あと去年との違いとして、交代選手がかなり充実している中でそのあたりの起用法について教えてください。

泉澤仁と福田は45分限定で、ということだった中で、これまで湧矢は左サイドではプレーしていなかったのですが、ただ話をして左サイドでいくと、本人も得意にしているということだったのでそれを出してこいということで出しました。良さである推進力が出て、中央にボールを運んだりすることもできた。それは盛岡が前半からかなりプレッシャーにきていたのに対して後半はおそらく疲れもあって疲労した分、間延びしたと。その部分をうまく使えたと思います。妹尾を左に、湧矢をまた中央にいれましたが、前へ進出する力もありますし、ボールをさばいて前に運ぶというところで、その時間ができることによって、勇人だったり、麗央が高い位置をとれるっていうことにつながって、相手を押し込むことができて、仕掛ける展開にもっていけた。ただ、もう少し早い時間帯に点を取れそうなチャンスもあったのでそこの質はあげていかなければいけないと思っています。

●MF食野亮太郎

トップのケツを叩いて行けるようにっていうツネさん(宮本恒靖U-23監督)の言葉があって、自分たちも攻撃的にいこうと試合に入ったんですけど、なかなか難しい立ち上がりでしたが、自分のゴールを含めて逆転できたのは良かったです。個人的には、試合に入るにあたって、今年は右サイドでチャレンジしているんですが、自分の特徴をどこで活かすかをしっかり考えて、ゴールに絡んでいこうと思って試合に入ったんですが、前半の立ち上がりは軽率なプレーもでたんですけど、後半はオープンな展開になってスペースがあいてきた中で自分の特徴を出すことができました。(1点目のゴールについて)感触的にすごいいい感触だったので、入ったかどうかはネットに刺さってから見えたんですが、ああいうところで落ち着いてボールに当てれたのは…去年ならふかしていたと思うので、練習の成果が出たなっていうのは思いました。シュート練習もそうですけど、クルピ監督が就任されて「シュートを打て」ということを言われるようになって、シュートを打つとか点を取るというところの意識がより向上して、練習からシュートをいっぱい打っていたのが良かったんだと思います。(決勝ゴールについて)一美くんが横にいたらしいんですが、見えてなくて、とりあえず自分が決めるっていうことしか考えていなくて、試合前にアザールの動画を試合前にみていたんですけど、あそこでジーザスとかしていたので、真似してやりました。イメージ通り相手も引っかかってくれたので決めるだけでした。(この2ゴールは自分にとって大きな自信に?)開幕戦で2点取れたのはプラスですけど、目標はここではないので。トップチームで点を取ることなので。満員のスタジアムで決められるようにしたいです。(去年は1点目に時間がかかったけれど、開幕戦で決められてかなり気持ち的には楽に?)かなりですね。去年、かなり時間がかかったので早めに取れたのは良かった。今日は試合をしていて普通に楽しかったです。つねさんが試合前に「ガンバは久しく攻撃的なサッカーをやれてないから、俺たちはいくぞ」と。前半なかなかできなかったけど、後半できてオープンな展開にもっていけて、セカンドボールも拾えて、どんどん自分にボールが入ってきたので楽しかった。

●MF福田湧矢

(流れを変えるプレーができたという手応えがあるのではないですか?)結果だけみたら、自分が入って逆転できましたが、まだまだ決められるチャンスはあったと思うし、一度えげつないふかしかたしたので…でもやっと勝つことができたので、それはよかったです。(得意なポジションでつかわれて躍動感も出た)あれが普通だと思うので、特にはそんなに何も感じていません。(J1も知っている経験は役に立ちましたか?)そうですね。J1ではいけないところをJ2ではいけるっていうのもあるので、今日は運べたシーンでも、J1だったらそれができなかったりもしたし…裏を返せばJ3だからこそ通用したというのはあると思いますが、それはJ1で得た経験値だと思います。(ボランチの一枚が攻撃に加わってくることでの攻撃の作りやすさみたいなのは感じましたか?)はい。それをしないと数的優位が作れないというか、ボランチがあってこそ攻撃も組み立てられるので、それがいまトップに足りないのと、あとはFWだったり裏に流れるシーンが今全くないので、そこにためを作れたら攻撃も作れるっていうのは今日の試合でたくさんそういうシーンがあったと思いますけど、それは改めて感じました。(トップ下に入ってからは明らかにゴールは強く意識していましたか?)そうですね。いちばん大事なのは結果だと思うので。この世界は。そこは前のポジションにはいればこだわりたいし、後ろのポジションをやれば失点ゼロっていうことは言われているので、まだ個人としての結果は何も出てないですね。(J1を戦っていると、スピード感の違いは感じましたか?)全然違いました。だから余裕持ってできるというか…前をむけるんだ、とか…J1ではそんな余裕ないですから。あんな普通に前を向けるシーンはほとんどないけど、J3ではそれができたりしたので。(寄せとかもボール奪取もすごくよかったけど?)そこも、J1だったらどうかっていうところだと思います。相手にかわされるっていうより、相手のボールの持ち方がうまくて、うまく寄せきれない感じが多いです。今日だと奪いにも行けるし、奪い切ることもできたけど。その辺は課題だと思っています。

●MF高江麗央

最初は守備の要求をされていたんですけど、そこは意識して、攻撃になったらどちらか一人が前まで入って攻撃のシュートまで関わるっていうことが二人でしっかりコミュニケーションをとれた…前半は微妙だったんですけど。後半はうまくそこでやれたかなって思います。(攻撃が持ち味の選手だけどボールもうまく回収して、ボランチらしいプレーをしていた)そこは、ボランチというポジションでいちばん要求されるところなので、練習からやっていた結果、昨年よりしっかりボールをとれることが多かったかなっていうのはありました。

●MF高宇洋

立ち上がりが結構チームとしてふわっと入ってしまって、前半で1点返せそうなシーンもあったんですが、返しきれずに、少しチームの弱さが目立った前半でした。でも後半選手同士でも声をかけあって、ツネさんとか智さん(山口智コーチ)とか声をかけてもらって、後半相手が足を止まるとも聞いていた中で、実際にそうなって、前の選手が3点取ってくれて勝てたのは良かったです。(前半押し込まれるシーンも多かった。何が原因ですか?)入り方をチームとして統一できていなかったので。相手が前からきた中で、もう少しダイレクトプレーを増やしていければ相手のやり方も変えられたと思うので、そういう戦い方の入りを改善していきたい。ただ、後半は本当にチーム全員で戦おうということで、トップがなかなか勝てていない中でU-23がサポーターに勝ちを届けられたというのは、自分たちに取って大きなアピールになったと思いますし、本当にいい試合ができて結果としては良かったです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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