台風1号は900hPaまで発達 「猛烈」な勢力で沖縄へ接近 九州~本州でも大雨のおそれ
台風1号が、急速に発達しています。6日午前9時には、最高ランクである「猛烈な台風」に発達し、中心気圧は正午で900hPaまで下がりました。ここまで発達するのは、台風1号としては統計史上初めてです。また、7月としては、最も発達(タイ記録)した台風となっています。
発達の原因は遅い発生と高い海水温
台風1号からいきなり猛烈に発達した原因は、発生時期の遅れです。もう7月ですので、十分に温まった海は、熱や水蒸気を大量に供給し、台風が発達する要素がそろっています。
また、台風の通過がなかったため、海水がかきまぜられず、海面水温はいっそう高くなっています。例えるなら、台風のエサが手つかずに残っている状況です。
もし今後も台風発生が少なければ、同様のことが起き、強力に発達して北上する台風の割合が多くなるおそれもあります。
先島諸島は荒天 九州~本州も大雨のおそれ
台風1号は、沖縄の石垣島など先島諸島の南から台湾へ進む見通しです。あす7日をピークに、先島諸島では大雨・暴風・高波と荒れます。
その後、台風は中国に上陸、もしくは大陸東岸付近を北上しそうですが、海からのエネルギー補給が減り、しだいに形は崩れます。
ただ、形が崩れるということは、台風らしい円形ではなくなり、雨雲は外へ広がります。今回の場合は、東側、つまり九州方面へ広がる傾向で、南から流れ込む大量の水蒸気と相まって、雨雲が発達します。
あす7日は沖縄本島周辺や奄美で、金曜~土曜は九州や本州でも、激しい雨の降るおそれがあります。
今年から小さくなった予報円
ところで、今年から台風進路図の予報円が、小さくなっています。特に3日先までは、予報円をつなぐバットのような形が、少しほっそりしたと感じるのではないでしょうか。
近年の予報技術の進歩により、台風が進む場所をしぼりこむことができるようになった結果です。
ただ、この予報円の表現方法は、できてから30年以上たちますが、いまだに勘違いされることが多く、「先へ行くほど予報円が大きくなる=台風が発達する」という誤解が、なかなかなくなりません。正しくは、「台風の中心が進むと予想される範囲」(細かくいうと、70%の確率で入る範囲)です。
将来的に、さらに予報円は小さくなる(=台風予報が正確になる)でしょうが、意味を間違ってとらえたり、知らなかったりすると、防災・減災行動にうまくつながりません。ふだん当たり前のように見ている気象情報ついて、気象予報士の解説を見聞きするなどして、ときどきは意味を確認していただければと思います。
※6日正午の台風情報で、中心気圧の値を修正しました。