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2024年度前半終了 藤井聡太七冠、定位置の勝率8割台に近づく 佐々木勇気八段、絶好調で竜王挑戦

松本博文将棋ライター

 将棋界の2024年度も前半戦が終了しました。ここまでの成績好調者を振り返ってみましょう。

 現棋界の頂点に立つ藤井聡太現七冠(22歳)は、年度が始まったときには全八冠を保持していました。タイトル防衛戦を戦う中で、叡王は失ったものの、ここまで名人、棋聖、王位、王座を防衛しています。


 上半期終わりの9月30日に王座防衛を果たした藤井七冠。翌日、記者からの質問に答える形で次のように答えています。

藤井「今年度、ここまで振り返ると、いろいろな戦型を指してみたというところがあって。結果としてはちょっと思わしくないということもありましたけど。ただ、その対局の内容としてはいい経験が積めているのかな、というふうに感じています。春夏と秋冬ですと、私としては秋冬の方が、これからの方が過ごしやすくて好きではあるんですけど。ただ、たぶん対局の、おそらくこれまでの結果の傾向とはおそらく(笑)、あまり関係がないかなというふうには思っています」

 藤井七冠の今年度成績は18勝5敗(勝率0.873)。強敵を連破して、現在は8連勝中です。

 藤井七冠は7年度連続で勝率8割以上という、異次元の記録を更新中です。そして今年度もまた、定位置の8割に近づきつつあります。


 今年度絶好調ともいえるのが佐々木勇気八段(30歳)。9月30日時点での成績は14勝1敗(勝率0.933)で、10連勝中です。

 10月1日には王将戦リーグで近藤誠也七段と対戦。

 10月5日からは藤井竜王に佐々木八段がいどむ竜王戦七番勝負が開幕します。

 今年度前半の対局数1位は藤本渚五段(19歳)。現在までに28局戦って、19勝9敗(勝率0.679)です。昨年度は51勝9敗(勝率0.850)という、歴代4位に入るハイアベレージを残した藤本五段。今年度はここからどれだけ白星を重ねるでしょうか。

 勝数1位は岡部怜央四段(25歳)。22勝3敗(勝率0.880)で現在13連勝中と、すさまじい勢いで勝っています。現在の連勝1位は梶浦宏孝七段(29歳)の14連勝。こちらを抜けるかどうかも注目です。

 前年度対局数・勝数1位の伊藤匠現叡王(21歳)。今年度はここまで14勝10敗(勝率0.583)です。ここからまた、エンジンがかかってくるでしょうか。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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