韓国情報機関とも結託した自衛隊「影」の部隊
自衛隊情報保全隊による国民監視の差し止めを東北地方の市民らが求めた訴訟の控訴審判決が2日、仙台高等裁判所であった。判決は、原告のうち1人について憲法が保障するプライバシー権を侵害したとして情報収集の違法性を認定し、一審に引き続き国に10万円の損害賠償を命じた。その一方、一審で勝訴した残り4人は逆転敗訴となり、差し止め請求も却下された。
情報保全隊とは、果たしてどのような集団なのだろうか。一般には聞きなれない名前だが、戦後史に関心のある向きなら、前身である「調査隊」のことは知っているのではなかろうか。
韓国中央情報部(KCIA)が日本で強行した「金大中拉致事件」に際し、KCIAからの依頼を受け、金大中氏の尾行や監視を行っていたのが調査隊関係者だった。
(参考記事:【対北情報戦の内幕】「金大中拉致」に加担した謎の防諜機関)
現在では考えられないことだが、当時は政財界にわたる「日韓癒着」が様々な社会問題・国際問題の根となっていた時代であり、こうした結託関係が生じやすい環境があった。ちなみに、この事件の政治的な幕引きのため、韓国側の密使として田中角栄首相らと折衝したのが「ナッツ姫」こと趙顕娥(チョ・ヒョナ)元大韓航空副社長の祖父・趙重勲(チョ・ジュンフン)氏だった。
(参考記事:田中角栄と「ナッツ姫」祖父が残した日韓政治の闇)
その後、調査隊は情報保全隊に生まれ変わり、さらに2009年には、陸海空の3自衛隊にあった情報保全隊が「自衛隊情報保全隊」に統合・強化された。表向き、防衛秘密の保護と漏えい防止を任務としているが、活動内容はそれだけではない。共産党などは、「実際の中心的任務は市民の平和運動などを監視すること」としているが、それも活動の一部分だろう。
ある公安担当記者は情報保全隊を「公安以上に秘密のベールに包まれている」と指摘するが、彼らが北朝鮮や中国、ロシアの動向に目を凝らしているのも事実だ。
彼らの働きが日本の安全保障にどのように影響しているのか、興味深いところだ。