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【第3弾】緊急事態宣言下の新潟県直江津駅の現状

鳥塚亮大井川鐵道代表取締役社長。前えちごトキめき鉄道社長
直江津駅の構内を除雪する大型の除雪用機関車。

1月7日の午後に降り始めてから今日11日で5日目。ほぼ連続して大雪に見舞われている新潟県上越の直江津駅です。

テレビのニュース等でも報道されていますのでご存じの方も多いと思いますが、新潟県上越市は7日の午後から本日まで5日間連続する大雪に見舞われ、鉄道ばかりでなく、ほぼ市内全域で機能がマヒ状態になっています。

本日、市内を少し歩いてみたときの様子です。

駅から数分の場所ですが、すっかり雪に埋まっています。

メインの通りだけ何とか除雪を行っていますが、一歩入ったこのような生活道路までは除雪は追いついていません。自宅の駐車場から車が出せない状況が市内全域で発生しています。

こちらは駅前道路です。

人の背丈以上に雪が積まれているのがわかります。

車はほとんど走っていません。

皆さん時間限定でオープンしているスーパーへ徒歩で買い物に行かれています。

駅前から交差点を渡るところですが、ほとんど道がありません。

駅前のタクシー乗り場です。

雪の壁が高くできていますが、タクシーはこの隙間から乗るようになっています。

まるで獣道のようです。

もっともタクシーはほとんど走っていませんが。

そのような状況の中、直江津駅構内に入ってみると。

金曜日から留置されている電車がさらに深くなった雪の中に埋もれています。

昨日除雪車両が作業をした線路にも一晩でまた雪が積もっています。

そんな中、鉄道も手をこまねいているわけではありません。

さらに大型の除雪車を投入し構内から本線上へ除雪を開始しています。

2台の除雪車が直江津駅構内からはねうまラインの高田方面にかけて稼働しています。

こうして線路の除雪は進めているのですが、本社の雪害対策本部で運転再開のための情報収集を行っていると、様々なことが判明してきました。

まずは運転再開を目指す妙高はねうまラインの途中駅での雪の状況です。

北新井駅。

すっかり雪に埋もれています。

南高田駅です。

どこまでがホームで、どこが線路かの判別ができません。

こういう状況では大型の機械を使って線路の除雪を行うことができても、それだけで列車の運転再開ができるわけではありません。

例えば、道路から駅へ入る道から始まってホームから列車に乗り込むまでのお客様の動線が確保できません。

通常は地元の皆様方がボランティアで除雪をしていただいている駅でも、これだけ大雪が降ると皆様ご自分の家の周囲の除雪で手いっぱいですから、地域の皆様方にお願いするわけにもいきません。スタッフを各駅に派遣しようにも道路が動いていませんので送り込むことができない状況です。

また、除雪車が通った後のホームにはこれだけの雪が積まれていきます。

いよいよになってきましたので、駅構内に雪を捨てる場所がなくなりました。

列車を走らせるためにはお客様の乗降の妨げになるこの雪の除雪も必要になりますが、すでに固まってしまっているため、短時間で人力で処理することが不可能だということも判明しました。

それにホームの屋根の上に積もった雪がいつ落ちてくるかもわからない状況です。

落雪はお客様にとっても危険ですが、これだけの量の屋根の雪が線路に落下するとそれだけで列車が走れなくなります。お客様を乗せた列車が万一駅間で停車するようなことがあっても、周辺道路が動いていませんから救援に向かうこともできません。

悪天候が重なれば数年前の車内閉じ込めの二の舞になりかねません。

おまけに大雪のために途中で運転を打ち切った列車が7日から上越妙高駅と高田駅に2編成留置されたままになっていますので、これをまず救出して直江津の車両基地に戻して線路を開けなければならないという作業も発生します。

また、地域事情として歩道が通行できなくなっているため、皆さん車道を歩いています。明日以降学校へ通う皆さんが車道を歩かなければならないという状況を考慮して、上越市内の小中学校はお昼の時点で今週中の休校を決定しました。高校はそれぞれの学校の判断になるとは思いますが、状況は同じですから、できるだけ学校の先生方に判断材料として「運転できるか否か」の情報をお伝えしておくべきである。

このような様々な事情を考慮し、本日14時の時点で明日12日も全日運休を決定させていただきました。

なお、13日以降につきましては明日の状況を見て判断させていただくことになると考えますが、除雪を進めていくにあたってさらなる課題が見えてくるものと思われます。13日の運転再開を目指すとしても上越妙高―直江津間のみで、数時間に1本程度の間引きダイヤとなると思われます。

16時30分現在雪は止み、駅構内をMR型除雪機械が作業をしております。(矢印のところ)

しかしながら、市内の状況を見まわすと今回はどうやら長期戦になるのではないかと思われます。

糸魚川方面への日本海ひすいラインの全区間、妙高はねうまラインの上越妙高―妙高高原間及び長岡方面からのJR信越本線につきましても現時点で運転再開のめどは立っておりません。

詳細につきましてはホームページにてご確認ください。

なお、トキめき鉄道の13日以降の運転情報につきましては、明日の夕方ごろを目途に更新させていただく予定です。

皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

※本文中に使用した写真は筆者またはえちごトキめき鉄道の職員が撮影したものを使用しております。

大井川鐵道代表取締役社長。前えちごトキめき鉄道社長

1960年生まれ東京都出身。元ブリティッシュエアウエイズ旅客運航部長。2009年に公募で千葉県のいすみ鉄道代表取締役社長に就任。ムーミン列車、昭和の国鉄形ディーゼルカー、訓練費用自己負担による自社養成乗務員運転士の募集、レストラン列車などをプロデュースし、いすみ鉄道を一躍全国区にし、地方創生に貢献。2019年9月、新潟県の第3セクターえちごトキめき鉄道社長、2024年6月、大井川鐵道社長。NPO法人「おいしいローカル線をつくる会」顧問。地元の鉄道を上手に使って観光客を呼び込むなど、地域の皆様方とともに地域全体が浮上する取り組みを進めています。

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