キューバから亡命した41歳の世界チャンプ
キューバから亡命した41歳のサウスポー、現WBAミドル級チャンピオンのエリスランディ・ララが、9月14日に防衛戦のリングに上がる。場所はネバダ州ラスベガス、Tモバイル・アリーナ。WBA/WBC/WBOスーパーミドル級タイトルマッチ、サウル・”カネロ”・アルバレスvs.エドガー・ベルランガ戦のセミファイナルに組み込まれた。
ララにとっては、同タイトル3度目の防衛戦となる。挑戦者は、スーパーライト、ウエルターと2階級を制したプエルトリカン、ダニー・“スウィフト”・ガルシアだ。
現地時間の8月27日、公開練習でごく軽く動いたララは、報道陣に語った。
「ダニー・ガルシアに、『こちらは準備万端だ』と伝えてほしい。彼は間違いなく偉大なチャンピオンだ。が、私の階級ではどうだろうね? ミドル級がどんなものなのか、何が決定的に違うかをお見せするよ」
ララの言葉には、「所詮、サイズが違うさ」というニュアンスが含まれていた。それもその筈、同じ2階級制覇の世界王者と言っても、ララはスーパーウエルター級とミドル級でチャンプとなった男だ。下のクラスから転向してきた選手に負けるわけにはいかない。
「増量がダニーにどんな影響を及ぼすか、私には分からない。どう対応するんだろうな。良い面も悪い面もあるだろう。まぁ、新たな挑戦が、良い方向に向かうと思うよ。こちらは常に、細心の注意を払って体をケアしている。だからこそトップレベルでいられるんだ」
母国、キューバを代表するアマチュア選手だったララは、2005年の世界選手権にウエルター級代表として出場して、優勝。2008年の北京五輪でも金メダルの最有力候補に挙げられた。しかし、ララはプロで稼ぎたかった。
2007年、リオデジャネイロで開催されたパンアメリカン大会中に亡命を試みるが失敗。数週間後にブラジル当局に逮捕され、キューバへの強制帰国を告げられる。そればかりか、無期限のボクシング禁止を言い渡された。
だが、ララは諦めなかった。翌2008年、スピードボートでメキシコに向かって、プロへの道を拓いた。
「自分が立っているポジションに達するためには、多くの犠牲があった。全てを捧げたからこそ、今がある。私は、その恩恵を受けている。だからこそ、惜しみない努力を続けているんだ」
同じキューバからの亡命者であるイスマエル・サラスの指導を受けるララ。14日はどんなファイトを披露するか。