アルゼンチン人コーチが語る「FCバルセロナが喫したチャンピオンズリーグ準々決勝での大敗」
実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、栃木SC所属のエスクデロ競飛王。
自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。
昨年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、この程、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとなった彼が、バイエルン・ミュンヘンに2-8で大敗したFCバルセロナについて語った。
バイエルンは最初から最後までハイプレスをかけ、成功していましたね。それが素晴らしかったです。
バルセロナはメッシ、ビダル、スアレス、グリースマンと攻撃陣のタレントはいるのですが、守備の顔ぶれがもう一つでした。中盤より後ろからドリブルで運べる選手が見当たらないし、プレッシャーをかけられると、パスを繋ぐ本来のサッカーが出来ませんでしたね。バルセロナの代名詞であった筈なのに…。
FCバルセロナは、昨年の7月23日に埼玉スタジアムにやって来て、チェルシーとプレシーズンマッチを戦いましたね。あの試合で将来性を感じさせたリキ・プッチは、まだトップチームでレギュラーとなるまではいっていません。でも、世代交代の時期に差し掛かったように感じられます。センターバックのジェラール・ピケも33歳になり、ちょっとスピードが落ちてきました…。
バルセロナは右サイドバックのネルソン・セメドが裏を取られたり、サイドから抉られたりするシーンが多かった。メッシも右サイドのFWですが、攻撃にしか意識がありませんから、バイエルンとしたら自軍の左サイドからの攻撃が面白いようにハマりましたね。カナダ代表の19歳、アルフォンソ・デイヴィスが光っていました。彼の若さとスピードは非常に魅力的です。
今回の2-8というスコアで、キケ・セティエン監督が解雇される可能性も大いにあるでしょう。彼は今シーズンから指揮を執っていますが、いくら新しい監督が来ても、スターティングが6人くらい代わらないと、強いバルサにはならないんじゃないかな。
バイエルンはコウチーニョが途中交代でピッチに入り、2得点1アシストの活躍を見せましたね。今更説明する必要もありませんが、コウチーニョはバルセロナに所属していた選手です。彼のような才能に溢れた選手をバルセロナは使い切れなかった。あり得ないことですよ。今回、人材を育成できなかった事実を突きつけられましたね。
さて、我が国のスーパースターであるメッシも不発でした。バイエルンはGKを除いたフィールドプレーヤー10人全員が相手に走り勝つ、最後まで全員で戦うサッカーを見せました。でもメッシのように走らない選手がいると、どうしてもゾーンで戦わなきゃならなくなります。メッシだけでなく、セルヒオ・ブスケツも運動量が足りなかった。僕はバイエルンのフィールドプレーヤー10人に対し、バルセロナは8人のように感じました。2人の差は如何ともしがたいですよ。その差がスコアに表れました。
今までメッシは「走らないけれどもゴールを決める男」として、特別扱いされていました。それでもバロンドールを6度受賞という結果を出していたのですから、誰も文句は言えなかった。かつてはメッシの得点能力を生かす為に、ボランチのハビエル・マスチェラーノが人の2倍走っていましたね。今のバルセロナには、そういうタイプがいません。
今回のバルセロナの敗北は、アルゼンチンでも大きな話題になっています。バルセロナはGM、監督、組織と、今後、どんなプランを出して、立て直すかを考えなければいけません。
今回の2-8の屈辱から何を学んだかが肝心です。僕は、やっぱりジョゼップ・グアルディオラにFCバルセロナの監督に復帰してもらうのが、ベストな改善策だと思っています。